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麻生内閣の支柱倒壊 追い詰められた中川財務相 (2/2ページ)
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民主党が参院に中川の問責決議案提出に向け動き出すと、与党内にも動揺は広がった。麻生にも「即座に罷免させた方が傷は少ない」「中川を入院させてはどうか」など進言が続いたが、麻生は頑と受け付けなかった。「景気の麻生」が、予算審議中に財務相を交代させるわけにはいかないとの思いもあった。
自民党でも裏工作が続いた。党総裁特別補佐の島村宜伸らが、中川のかつての兄貴分である国民新党の亀井静香代表代行らと接触し、問責決議回避に向け折衝を続けた。
ところが、中川の方が精神的に追い詰められていった。中川は16日夜、都内の病院で診察を受けた後、周囲にこう漏らした。
「これ以上総理に迷惑はかけられない。家族にも申し訳ないしね…」
17日午前も与野党の水面下の折衝が続いたが、不調に終わった。問責決議案の提出不可避となった正午過ぎ、中川は麻生に電話をかけた。「いろいろ迷惑をかけて申し訳ありません。予算案が衆院通過後に辞任させていただきたい」。もはや麻生も引き留めなかった。
この直後、中川は財務省で緊急記者会見を開き、予算案の衆院通過後に速やかに辞任する考えを表明し、衆院予算委に向かったが、野党は「辞める閣僚相手に審議などできない」と審議をボイコットした。午後4時から与党単独で開いた予算委員会は中川にとって最後の釈明の場となった。
「G7の日程の最後の記者会見で体調を崩し、国民のみなさまに多大なご迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げます。自らの体調管理の不注意であり、ひとえに私の責任です」
17日午後6時すぎ、中川は首相官邸を訪れ、麻生に辞表を提出した。麻生内閣の大きな支柱が倒れた瞬間だった。(敬称略、石橋文登)