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麻生内閣の支柱倒壊 追い詰められた中川財務相 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:麻生内閣
「何だ、この会見は…」
15日夕、首相、麻生太郎は首相公邸のテレビに映し出された財務相兼金融担当相、中川昭一の映像を見て首をひねった。ろれつは回らず、目はうつろ…。「また鎮痛剤を大量に飲んだのか…」。首相は渋い表情を浮かべた。
中川は麻生の懐刀の一人だった。東京大法学部卒で旧日本興業銀行出身だけに経済・金融政策に明るく、麻生が平成19年秋の自民党総裁選で前首相の福田康夫に敗れた後、「まもなく大変な恐慌が世界を襲う。早く手を打とう」と経済政策のとりまとめを持ちかけたのも中川だった。
これが麻生が中川を財務相兼金融担当相に起用した理由だったが、1つ不安があった。腰痛持ちの中川は時々強い鎮痛剤を服用する。体調を崩したり、わずかな酒や別の薬と併用すると激しい副作用に見舞われ、酩酊(めいてい)状態となるのだ。中川は過去に酒にまつわる“前科”を残してきただけに「薬の副作用」とはなかなか信用してもらえない。麻生は昨年秋の組閣の際も中川に「重要な仕事なので体調に十分気をつけてほしい。酒はほどほどに…」とクギを刺したほどだ。
だが、1月の国会攻防を通じて中川は次第に体調を崩し、不安は現実に変わっていった。麻生は16日朝、中川の酩酊会見が風邪薬や解熱剤、鎮痛剤の大量摂取に起因することを確認すると周囲にこう指示した。
「原因が酒でないならば、おれに中川を切る選択肢はない。中川には説明責任をきっちり果たし、事態を収拾するように伝えろ」
これを聞いた中川は16日、何度も記者団の取材に応じ、辞任を否定。衆院財務金融委員会でも事情説明し、謝罪を重ねたが、民放各社はニュース番組などで酩酊会見の様子を何度も放映。中川への風圧はますます強まっていった。