1997年から続く「給料デフレ」―日本人の貧富拡大
「年齢・役職・学歴・会社別」4000万人全データ【1】
日本のサラリーマンの平均年収は、ずるずると減少を続けている。
プレジデント編集部 面澤淳市=文 ライヴ・アート=図版作成
あの年、97年に悲劇的な経営破綻劇を演じた山一。グループ社員1万人のうち5分の1にあたる2000人は、山一の営業網を引き継いだメリルリンチ日本証券に山一と同じ待遇で移籍することができた。
4大証券の一角といわれた山一では、97年の破綻時にも1000万円超の年収を得ていた人が少なくない。
だが、メリルリンチが目論見どおりの収益を上げられなかったため、関係者によれば、彼らの年収も「3年後にはほぼ半減した」という。つまり、1000万円プレーヤーの年収が、わずか3年で500万円に激減したのである。
むろん「500万円」でもそれなりの生活は可能だが、いったん膨らませた家計を身の丈に合わせて切り詰めるのは想像以上に難しい。
山一からメリルリンチへの移籍組のなかには、預貯金など金融資産の取り崩しだけでは間に合わず、消費者金融からの借り入れに頼った揚げ句、返済に窮した人も相当数に上ったという。
倒産した山一のケースは極端かもしれないが、9年間で平均32万円もの減収に見舞われたのが日本のサラリーマン家庭である。多くの家計が、程度の差はあれ、同様の苦境を経験しているとみるべきだろう。
そのことを証明するのが、金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」である。調査によると、預貯金を持たない「貯蓄ゼロ世帯」は02年の16.3%から、4年後には22.2%へ急増している(図参照)。
加えて、一世帯あたりの負債額も増加傾向が続いている(図参照)。とりわけ住宅ローンを除く「その他の負債」が00年以降膨らんだままなのが、サラリーマン家計の窮迫ぶりを物語る。
面澤 淳市
めんざわ・じゅんいち●1964年、茨城県生まれ。水戸第一高校、法政大学法学部卒。雑誌「財界」などを経てプレジデント編集部へ。著書に『東芝』『ソニー「プレステ2」のマルチ情報革命』など。
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