【東京】クリントン米国務長官と中曽根弘文外相が17日、普天間飛行場移設を日米合意通りに実施することを明記する「在沖海兵隊のグアム移転に係る協定」に署名するのを前に、琉球新報社は県選出・出身国会議員11人に緊急アンケートを行った。自民党1人を含めた7人が協定締結に反対する考えを明らかにした。賛成2人、保留2人。グアム移転で米軍が削減されることは歓迎する一方、同時進行する普天間の名護市辺野古沿岸部移設には賛成できないという議員の複雑な心境が浮かび上がった。
院別での内訳は、衆院議員が賛成2、反対4、保留1。参院議員が反対3、保留1。
自民党5人のうち、反対意思を明確に示したのは仲村正治衆院議員。グアム移転は歓迎しながらも、普天間移設、嘉手納より南の基地返還を条件とする「パッケージ」には「別々の計画に基づき実現すべきだ」と要求。「普天間は県や名護市の要請通りに沖合移動を認めなければ、普天間の危険を名護市に移すようなもので断固反対だ」と、県の求める沖合移動に政府が応じるべきだと主張している。国会承認の議決では反対に回る考えを示した。
嘉数知賢衆院議員(自民)もグアム移転は評価する一方、協定締結により代替施設の位置が日米合意通りに固定されることを懸念。議決での態度を保留した。
野党からは「普天間は無条件返還すべきだ」「パッケージ論は県民への責任転嫁、県民の分断・対立を図るものだ」などと、県内移設やパッケージ論を批判する意見が相次いだ。次期総選挙での政権交代の可能性に触れ、「選挙の危機感から来る唐突な駆け込み協定だ」と指摘する声もあった。
協定は署名後に国会承認の審議に入る。条約・協定の承認は憲法で衆院の優越が認められているため、衆院で議決されれば、参院の議決に関係なく30日後に自然承認される。
(与那嶺路代)
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