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「そうめんは古いほどうまい」はウソ? 料理研究家論文

2009年2月17日17時25分

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 そうめんは古くなるほど味がよいとされる常識は、正しくないとする実験結果を伝承料理研究家の奥村彪生(あやお)さんが博士論文にまとめた。価格が最も高い「3年もの」は、脂肪臭や堆肥(たいひ)と同じにおい成分が、新物に比べ3倍に増えていた。

 そうめんは、冬から春にかけて製造され、梅雨時期を1回経た新物、2回経た古物(ひねもの)、3回経た古古物(こひねもの)(大古物)に分けられ、古い物ほど2割ほど高くなる。

 奥村さんは細めのそうめん3種(直径0.6〜0.7ミリ)を食品会社の研究所に依頼して分析、めんの油が分解して生じる嫌なにおいの成分を比べた。枯れ草のにおいの1―オクテン―3―オール、強い脂肪臭の2―ドデセナール、堆肥のにおいのヘキサナールが古いほど増え、それぞれ古古物は新物の約3倍に増えていた。

 また、畿央大学(奈良県)健康栄養学科の4年生ら19人に、種類を明かさず、もっともおいしいものを選んでもらうと、新物4人、古物13人、古古物2人だった。太めのそうめん(直径1〜1.2ミリ)の新物では、全員が前者3種のどれよりもうまいと評価した。

 奥村さんによれば、古いほどよいとされだしたのは、供給過剰になり始め、極細にする技術が生まれた江戸時代中期以降。細いほど作るのが難しく高級とされる。だが、細いと、ゆでたとき水分を吸って伸びやすく、新物より硬い古物の方が歯ごたえがいい。

 奥村さんは「そうめんが売れ残り、時間がたつと硬くなると偶然気づいたのではないか」と推測している。

 18日に開かれる美作大学大学院(岡山県)の博士論文公聴会で発表する。(鍛治信太郎)

     ◇

 奈良県三輪素麺(そうめん)工業協同組合の寺田裕彦理事長の話 食味は個人の好みがあるので一概には言えないのではないか。何を基準にするかで好みはわかれる。こしのある方がおいしいという人は古物、大古物ほどいいという。においを気にする人もいるが、逆にそのにおいがいいという人もいる。製法や保存法も進歩して、使う油の量も減ったので、気になるようなにおいはそんなにないはずだ。

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