中川昭一財務・金融担当相は17日、ローマで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後、ろれつが回らない状態で記者会見したことなどの責任を取って、09年度予算案と関連法案が衆院通過後、辞表を提出する意向を明らかにした。麻生太郎首相に伝えたうえで、財務省内で同日午後、記者会見した。野党が参院に中川氏の問責決議案提出の方針を決めており、予算案の国会審議に与える影響を考慮した。首相の任命責任が問われるのは必至で、与党内から予算成立後の「麻生降ろし」の動きが活発化する可能性が高まってきた。
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中川氏は会見で「かなり腰や風邪、疲労がたまっているという診断を受けた。自分の健康管理の不注意から国民の皆様、総理、国会はじめ関係者に多大なご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる」と述べた。
衆院予算委員会と参院財政金融委員会は17日、答弁を求めていた中川氏が「病院へ検査に行く」として欠席の意向を示したため、午前中に予定していた委員会開催を取りやめた。担当閣僚の体調を理由に委員会が中止となるのは極めて異例。中川氏は病院で診断書を受け取った後、財務省に入り「午後は予算委員会に出席する」と述べたが、午後0時半過ぎから会見して、辞任の意向を表明した。
「100年に1度といわれる世界経済、金融の危機、あるいは日本の急速な経済の悪化という状況の中で、私は景気回復のために全力を傾注してきたつもり。景気を良くすることに対しての気持ちは非常に強いものを持っている」と悔いもにじませた。
首相は当初、「体調管理をしっかりして職務に専念してもらいたい」と中川氏を続投させる方針を表明。中川氏も16日夜、「罷免されない限り職務を全うしたい」と語っていた。だが、政府・与党内から予算案審議への影響を懸念する声が高まっていた。麻生内閣での閣僚の辞任は昨年9月に失言問題で辞任した中山成彬前国土交通相に続いて2人目。
中川氏は、ローマで14日午後に開いた記者会見で、ろれつが回らない状態で受け答えした。同席していた白川方明日銀総裁に対する質問に「何、もう一度言って」と割り込むなど不自然な態度を示し、米ABCテレビのインターネットの記者ブログでは「居眠り運転」との見出しで報じられるなど海外メディアでも酷評された。
16日の衆院財務金融委員会では、野党側が「飲酒が原因ではないか」と追及したが、中川氏は昼食時にワインを「口に含んだ」ことは認めたものの、記者会見前に飲酒したことは否定。原因は、多量の風邪薬をのんだためと説明していた。
中川氏は以前から飲酒で悪酔いする癖を指摘されていたが、首相は財務相と金融担当相を兼務させる重要閣僚に抜擢。中川氏は就任後、記者会見に充血した目で現れるなどしていたほか、1月の財政演説では「渦中」を「うずちゅう」と読むなど26カ所を読み間違えた。【清水憲司、古本陽荘】
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