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犯人探し「心痛む」 皇太子さま文書公表 2004/06/09 八日、ようやく実現した皇太子さまと湯浅利夫宮内庁長官の面会。発言後の大きな反響に、皇太子さま自身も戸惑った様子だったという。公表された文書で皇太子さまは「皆さんにお伝えしたかったこと」として「私たちがこれまで直面してきた状況と今後に向けた話です」と強調。体調を崩し、公務を半年以上休んでいる雅子さまの復帰を最優先にし「宮内庁ともよく話し合っていきたい」と将来を見据えた。 面会は午後三時すぎから約四十分間。「久しぶりにお目にかかったので、いろいろな話をした」(湯浅長官)。エスカレートしたテレビや雑誌の「犯人捜し」報道を憂慮した天皇、皇后両陛下の心情について、皇太子さまは「心が痛みます」と、文書と同じ表現で繰り返したという。 さらに皇太子さまからは、雅子さまの回復のために「静かな環境づくりに努力してほしい」と要請があった。 湯浅長官は記者会見で「殿下の心痛に、事務方の責任者として申し訳ない思いだった」と振り返った。またこの一カ月のテレビや雑誌の「犯人捜し」や「嫁しゅうと問題」などの取り上げ方に触れ「私たちは非常に苦慮した。ものすごい量の報道で、とても太刀打ちできない。事実を誤認したものも多く、頭の痛い問題だ」と吐露した。 「関連して皇太子さまは何か言っていたか」との問いには「全くなかったと言えばうそになる」とだけ述べた。 会見よりも文書を希望 皇太子さまが「雅子のキャリアや人格を否定する動きがあった」と発言したのは五月十日、欧州三カ国の訪問を前にした記者会見でのことだった。新聞各紙やテレビのワイドショー、雑誌が発言を大きく報じ、波紋は広がった。 翌日には宮内庁の湯浅利夫長官が「真意をうかがいたい」と面会を求めたが、出発直前で日程調整がつかず、帰国後に持ち越された。 帰国から十日が過ぎた六月四日、真意は文書で公表されることに決まった。 「時間がたち、直接話法でないとかえって誤解を生む」と宮内庁サイドが再びの記者会見を提案したところ、皇太子さまが「言葉を尽くして国民に説明したい」と文書による公表を希望した。 説明文書の全文 皇太子さまが八日公表した説明文書の全文は次の通り。 (原文のまま) 私の、ヨーロッパ3ケ国への訪問前の記者会見での発言に関して、少し説明したいと思います。 記者会見では雅子がこれまでに積み上げてきた経歴と、その経歴も生かした人格の大切な部分を否定するような動きがあった、ということをお話しました。その具体的内容について、対象を特定して公表することが有益とは思いませんし、今ここで細かいことを言うことは差し控えたいと思います。会見で皆さんにお伝えしたかったのは、私たちがこれまで直面してきた状況と今後に向けた話です。 記者会見以降、これまで外国訪問ができない状態が続いていたことや、いわゆるお世継ぎ問題について過度に注目が集まっているように感じます。しかし、もちろんそれだけではなく、伝統やしきたり、プレスへの対応等々、皇室の環境に適応しようとしてきた過程でも、大変な努力が必要でした。私は、これから雅子には、本来の自信と、生き生きとした活力を持って、その経歴を十分に生かし、新しい時代を反映した活動を行ってほしいと思っていますし、そのような環境づくりが一番大切と考えています。 会見での発言については、個々の動きを批判するつもりはなく、現状について皆さんにわかっていただきたいと思ってしたものです。しかしながら、結果として、天皇皇后両陛下はじめ、ご心配をおかけしてしまったことについては心が痛みます。 皆さんに何よりもお伝えしたいことは、今後、雅子本人も気力と体力を充実させ、本来の元気な自分を取り戻した上で、公務へ復帰することを心から希望しているということです。雅子の復帰のためには、いろいろな工夫や方策も必要と考えますし、公務のあり方も含めて宮内庁ともよく話し合っていきたいと思っています。多くの方の暖かいお励ましに、私も雅子もたいへん感謝をしています。雅子が早く健康を回復し、復帰できるよう、私自身も全力で支えていくつもりです。 最後に、雅子の回復のためには静かな環境が何よりも大切と考えますので、引き続き暖かく見守っていただければ幸に存じます。 [ 閉じる ]
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