「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、元横綱の貴乃花親方らが発行元の新潮社(東京都新宿区)などに3750万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(松本光一郎裁判長)は4日、同社側に計375万円の支払いと、謝罪広告の掲載を命じた。被告の佐藤隆信・同社社長個人にも賠償責任があるとした異例の判断となった。
問題となったのは、05年2月17日号〜同7月14日号に掲載された5本の記事。判決は、貴乃花親方が二子山部屋の土地建物の権利証を無断で持ち出した▽95年九州場所の優勝決定戦での兄弟対決で八百長をした――などの内容はいずれも「真実ではない」と認定した。
その上で、社長個人の損害賠償責任を検討した。松本裁判長は、「出版社の社長には、名誉棄損がないよう慎重に取材・執筆させ、違法性がないかチェックする体制を社内に築く注意義務がある」と指摘。「編集権の独立を尊重している」とする同社側の主張を退け、社長には不十分な対応で記事を掲載させた重大な過失があったと認め、旧商法の定めに基づき、連帯して賠償金を支払うよう命じた。