2008年12月5日 文部科学大臣 塩谷 立 様 日本アルコール問題連絡協議会
日本アルコール関連問題学会 日本アルコール精神医学会
<要望事項> 教職員の飲酒運転が後を絶たず、各教育委員会は処分の強化や氏名の発表等の厳罰化対策に追われています。貴省がまとめた「平成18年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について」によると、飲酒運転による懲戒処分者は101人で、交通事故当事者の19%を占めています。(資料1) 特定非営利活動法人ASKが報道事例を分析したところ、各地の教育委員会が発表した飲酒運転による懲戒処分事例が07年10月〜08年9月までの1年間に74例あり、9割が男性で、年齢は40〜50代のベテランが7割を占めており、校長・教頭といった管理職によるものも8例ありました。全体の7割が懲戒免職という重い処分を受けており、教え子に与える影響を深く憂慮します。 注目すべきなのは、飲酒行動の異常や再犯など「依存症の疑いが極めて濃厚な事例」が23例と全体の3割にのぼったことです。うち5例は病気休暇・休職中です。加えて、検挙時の呼気濃度が高いなど「依存症の疑いのある事例」が16例。合計すると半数を超えます。(資料2) この数字は、神奈川県警と久里浜アルコール症センターの共同調査による「免許取り消し処分を受けた飲酒運転違反男性の47.2%、女性の38.9%に依存症の疑いがある」に合致します。(資料3※PDF) このように、多量飲酒や依存症が背景にある場合、厳罰化とは別の、教育・治療的対策をとらなければ効果が上がりません。ところが、この部分の対策が抜け落ちているが日本の現状なのです。 アルコール関連問題の予防・治療を専門にする学会・団体として、以下の総合対策を早急に検討・実施されることを貴省に要望するとともに、協力を惜しまないことを申し添えます。 <要望事項> 1)教職員及び教育委員会職員らに、アルコール問題についての研修等を行ない、飲酒運転の背景に多量飲酒とアルコール依存症があることを周知。飲酒する場合には、厚生労働省が推進する「健康日本21」の節度ある適度な飲酒の範囲を守るよう促すこと (資料4)
特定非営利活動法人アスク Tel 03-3249-2551 |