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景気悪化が“追い風”に……月1000円を切るADSLが復権
景気低迷による商品・サービス価格の低減が進む中、低料金のADSLに人気が出ている。光回線普及の影響で市場縮小が続いていたADSLだが、月額1000円を切る新プランなどで契約者増を図っている。
[FujiSankei Business i.]
景気低迷による消費の冷え込みで商品・サービス価格の低減が進むなか、インターネット接続サービスでも電話回線を利用した低料金のブロードバンド(高速大容量)「ADSL」の人気が再燃している。月額1000円を切る新プランなど安値競争が、光回線普及の影響で市場縮小が続くADSLの回帰現象につながっているようだ。
最大手のソフトバンクBBが昨年12月に月額1000円を下回るプランを投入。イー・アクセスも使い放題で1500円以下でサービスを提供し、光回線の普及を進めるNTTも「値下げを検討している」(NTT東日本)。
ライトユーザーに
ソフトバンクBBの「ヤフーBBホワイトプラン」は、ソフトバンクの携帯電話利用者なら月額料金が最低月額973円で利用できるサービス。毎秒8メガ(メガは100万)ビットと最大100メガビットの光回線より大幅に遅いが「メールやウェブサイトを利用する程度なら支障がない速度」(ソフトバンクBB)だ。973円で利用できるデータ量は50メガバイトまでで、「ヤフーのトップページを100回閲覧できる」(同)。データ量に応じて課金され、3953円から使い放題。ネットをたまに使う程度のライトユーザーには最適のプランだ。
イー・アクセスは、マイクロソフトとの共同キャンペーンとして、同社の電子メールサービス利用者向けに月額1480円のADSLサービス(12メガ、使い放題)を提供している。1日には2798円で50メガビットの高速ADSLサービスを開始するなど割安感の高いサービスをそろえた。ソネットエンタテインメントも今月から50メガビットで月額2825円のサービスを提供している。
NTT東西がADSL値下げを検討しているのは、2010年度末に2000万件の光回線契約目標の達成が困難なことがある。まずは廉価なADSLサービスで囲い込み、光サービスの契約増につなげたい考えだ。
高止まりの光回線
総務省によると、ADSLは昨年6月末までに契約件数が光回線に抜かれた。12月末にはソフトバンクが442万7000件(9月末比12万4000件減)、NTT東西が417万8000件(同15万5000件減)まで減少したが、今年に入り落ち込みがやや鈍化、「市場は1000万件以上あり、当社は横ばい」(ソフトバンク)。景気悪化で「料金が高い光回線からADSLに戻るユーザーも少なくない」(MM総研の横田英明研究部長)という。
イー・アクセスの深田浩仁社長は「利用者の多くはネットに接続できればいいのが実態。光回線経由のテレビ受信サービスなど多様なサービスを組み合わせて販売するNTTの戦略には無理がある」と指摘する。
現在、NTT東西の光回線サービスの料金は戸建ての場合、月額5460円とADSLの低価格サービスの5倍前後。光回線の普及が本格的に進まない背景には、膨大なインフラ投資が必要な光回線にNTT以外の企業が本格的に取り組まず、コスト高で料金が高止まりしているという指摘もある。光回線への移行が急速に進むとみられていたADSLだが、景気悪化の“追い風”を受け、「身の丈ブロードバンド」として再認識されているようだ。
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