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アマゾン、消された書評 著者・水村さん「公正さ疑う」

2009年2月17日10時48分

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 インターネット上の書店「アマゾン」の利用者が商品について投稿する批評欄「カスタマーレビュー」に、いったん掲載された好意的なレビューが削除されたとして、話題作「日本語が亡(ほろ)びるとき」の著者で作家の水村美苗さんが、「削除理由について納得のいく説明がなく、公正さが疑われる」と批判している。ネット上の批評をめぐる議論に一石を投じる発言だ。

 「カスタマーレビュー」は、利用者が本などを星一つから五つまでの5段階で評価して批評文を投稿するもので、誰でも閲覧できる。

 「日本語が亡びるとき」の発行部数は5万部。版元の筑摩書房によると、同書の「レビュー」のうち、昨年11月5日の配本から12月15日までの間に五つ星レビューが少なくとも六つ消失した。

 アマゾンの「ガイドライン」には「長さは800字までに」とあるほか、「冒涜(ぼうとく)的、猥褻(わいせつ)、また悪意を含む表現や動画」など17項目の掲載禁止事項が示されている。筑摩書房が削除理由について問い合わせたところアマゾン側から、六つのうち一つは「原因不明」、五つは「800字以上の長文のためガイドライン上不掲載処理した」と回答があったという。

 著者らは「800字をはるかに超えたレビューにも消えていないものがある」として、再度回答を求めている。

 朝日新聞の取材に対し「アマゾンジャパン」の広報部は、「個別案件に関する具体的なコメント、及びシステム・仕組み・プロセスについてのコメントについては控えさせていただく」と回答した。

 レビュー欄には「報告する」をクリックすると、削除を要請できる機能もある。

 水村さんは「外部の意見で簡単にレビューが削除されるのではないか。こうした事実を利用者に明らかにせずに掲載しているのは、公共的な責任を果たしているとはいえない」としている。(都築和人、小山内伸)

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