北九州市立4病院の事業会計で、当座の運転資金として市の一般会計などから借り入れる一時借入金の2009年度末残高が、07年度決算(3億円)に比べ約9倍の26億4000万円に膨れる見通しであることが16日、分かった。同会計は09年度末、約6億8700万円の資金不足に陥る見込みで、初めて「赤字予算案」を編成。これに加え、予算上赤字に組み込まれず「隠れ借金」とされる一時借入金残高が急増した。市は市立病院の抜本的な経営改善を求められそうだ。
市病院局によると、市立病院の経営は診療報酬のマイナス改定や医師不足による診療態勢の縮小などで収益が急激に悪化し、06年度から単年度実質収支は赤字に転落。貯金にあたる累積剰余金を取り崩して対応してきたが、09年度には底をつく見通しとなった。
市は50億円を上限に、市の一般会計や別の事業会計からの一時借入金で運転資金を工面。地方公営企業法に基づき、年度内に返済してきた。
しかし、病院事業会計の資金繰りの悪化で、07年度末に3億円を年度内に償還できず、借り換えで急場をしのぐ自転車操業に陥った。さらに、08年度の一時借入金残高も当初見込みの7億2000万円から最終的に15億8000万円に悪化する見通し。08年度末も返済の一部は金融機関からの借り換えを検討しており、雪だるま式に「隠れ借金」が増える恐れがある。
市は破たん回避のため、09年度の一時借入金の限度額を80億円に拡大したい考えだが、議会の議決が必要。23日開会の定例会で議論になるのは必至だ。
=2009/02/17付 西日本新聞朝刊=