県は来年度、産科や小児科、麻酔科の研修医を対象に、県内の公的病院に将来勤務する意思がある場合、月20万円を最長3年間貸し付ける制度を導入する。県外の医師には同様の条件で、200万~300万円を一括貸し付ける。過疎地での医師確保が狙いで、新条例案を2月定例県議会に提案する。
新制度は、県内の病院で臨床、後期研修を受けている研修医について、研修後、県内の公的病院で勤務した場合、勤務期間分の貸付金は返還を免除する仕組みで、毎年3人への貸し付けを想定している。
また県外の医師が、県内の公的病院の特定診療科で勤務する際、専門分野の研究資金を援助する。金額は「1種」が300万円、「2種」が200万円で、1種は3年、2種は2年勤務すれば返還を免除する。毎年1人を対象とする。
他にも、自治医大(栃木県)を卒業し、県内のへき地で勤務する医師が、義務年限を超えて勤務する際、100万円を研修・研究資金として援助する。診療科は問わず、1年勤務すれば返還を免除する。年2人が対象。
いずれも希望者が多い場合は、勤務形態などを考慮して選抜する。経費は総額1420万円を見込んでいる。
県は昨年から、県内勤務を希望する医師に無料で病院をあっせんする「ドクターバンク」の運用を始めたが、これまで成功例はなく、医師確保が難航している。県医療看護課は「特定診療科では、医師が辞めて勤務医の負担が増え、また医師が辞めるという悪循環に陥っている。新制度を県内に医師が定着するきっかけにしたい」としている。【西嶋正法】
毎日新聞 2009年2月17日 地方版