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エコプロダクツ展 CO2からメタノールを合成・三井化学(08/09/16)
工場排ガス中のCO2を回収して水素と合成しメタノールを製造しさらにオレフィン類など化学製品の合成につなげていく。地球温暖化対策ではやっかい者扱いのCO2を原料に変える試みといえる。その狙いや展望を同社の船越良幸常務(生産・技術本部副本部長)に聞いた。 ――CO2は安定した物質で、普通は化学反応の最終生産物です。その物質を起点に合成を始めるのは技術的に大変むずかしいように思えます。
「CO2からの合成を実現するカギになったのは触媒だ。銅系の触媒にジルコニアを結合させるなど工夫してCO2分子を活性化する働きをもたせた。この触媒開発は地球環境産業技術研究機構(RITE、京都府木津川市)と1990年から99年まで10年間にわたって共同研究に取り組んだ成果だ」 「実験室ベースで性能は確認済みなので、今回、実際の工場排ガスを使って実用性を検証することにした。大阪工場のエチレンプラントから出る排ガス中のCO2を分離・回収し、水素と反応させて年間100トン規模でメタノールを合成する」 「理想的には水素も光触媒で水を安価に分解したものを使いたいと考えているが、そちらの技術はまだ開発段階なので、今回はプラントで使っている水素の一部をまわす計画だ。実証プラントの建設費は約15億円を見込んでいる」 ――実験室で触媒ができてから10年近くたってから実証段階に入った背景は。
「メタノールは産油国で安く生産できるのでまともに競争するのは難しいが、条件が整えば、こういう革新的なプロセスも実用化可能だ。三井化学は『新たな価値創造』を08年度中期経営計画の基本コンセプトにすえており、化学の技術で新しい価値を創り出すという意味からも挑戦する意味があると判断している」
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