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米国の時代は終わったか

2009年2月17日

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 サブプライム問題をきっかけにした世界不況の中で、米国の評判は甚だよろしくない。評論家の一部には、すでに米国の時代は終わったとする人たちもいる。果たしてそうか。

 先の大戦で世界は荒廃し、経済は疲弊し、人々の生活はどん底に落ちた。あの時、米国によるもろもろの支援が、欧州や日本を復活させた。

 中でも世界の活性化に寄与したのは、あの世界最大のマーケットをフェアに公開したことであった。この中に、様々な物を放り込むことによって、欧州も日本も初めて、その経済的基盤を確立したのである。

 これを「放漫」と呼ぶことは容易だ。だが、この米国の放漫と赤字があったからこそ、世界はかくも近代化できたことを忘れてはならない。

 米国を非難するだけで終わるのは、大尽のドンチャン騒ぎの余塵(よじん)をこうむってきた人たちが、大尽が破産したと言って腹を立てているようなものなのだ。

 確かに米国にも独善と誤りがなかったとはいえない。だが、その米国に今、取って代わることができるような国が存在するであろうか。

 遠い将来のことはいざ知らず、現時点でそんな力のある国はない。とすれば、集団的指導ということになる。ところが、これは国連を見れば分かるように、各国の利害調整の場とはなっても、時々刻々と動く経済決定の場とはなりえない。

 ここは、米国が過ちは正したうえで、再度リーダーシップを発揮する以外に経済収縮を救う方法はない。自省のあまり、米国がもし、かつてのモンロー主義に戻ろうものなら、その時こそ、世界に底の知れない恐慌がやってくることになる。(可軒)

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