地をける足音と声援が、早春の吉備路に戻ってきた。前身の大会をリニューアルし、山陽新聞創刊百三十周年記念「2009そうじゃ吉備路マラソン」として六年ぶりに復活した。
総社市の市スポーツセンターを発着点とするフルマラソンとファミリーマラソン(四・五キロ)に全国から約三千五百人が挑んだ。暖かな日差しの中を力走する選手たちに、沿道から「がんばって」と盛んな声援が送られた。
フルマラソンのコースに当たる備中国分寺付近は絶好の撮影ポイント。幼い孫娘と応援していた岡山市の男性は「近所の人が出ているし、孫に見せようと来た。すばらしい環境で私も走りたくなった」とほほ笑んだ。
各地の大会を経験した知り合いも以前、「吉備路は引きつけられる最高のコース」と称賛し、大会の再開を願っていた。美しい景観や歴史とロマンに培われた包容力だろう。
市民マラソンの参加者の目標は記録だけではない。健康、家族や友人とのきずな、節目の記念、自信を持ちたいなどさまざまだ。何とか願いを達成してもらおうと給水や接待、警備などにボランティアが活躍し、沿道の人々が熱く励ます。
そんな一体感が、待ちに待ったマラソン大会と温かな交流を盛り上げ、見事に復活させた。この芽を再び大きく育てていきたい。