【第62回】 2009年02月16日
最高裁と金融庁が放った“爆弾”
消費者金融は消滅する!?
だが、これでは「金融庁が多重債務者に再び貸し出せと言っているに等しい」(大手消費者金融)。その批判もあって、昨年末になくなると決まったこの登録は、今年になって各方面からの横槍が入り、あらためて協議が行なわれているようだ。だが、新システムが稼働する6月には、この情報登録はなくなる見込みだという。
現実味を帯びてきた
引当金の積み増し
いまや消費者金融業界は、過払い金返還請求で足元から崩れ落ちそうな状況だ。各社とも今年度には、減り始めると見ていたが、その兆しはない。
それどころか、アコムやプロミスでは、昨年12月の返還請求の申込件数は過去最高を記録した。本来、12月は営業日数が少なく、ボーナスが入る時期でもあり、借り入れ申し込みや返還請求は減少する時期である。
それにもかかわらず返還請求が増えたのは、「そうとう、資金難に陥っている人が多いのではないか」(大手消費者金融)と見られる。そこに先の最高裁判決の影響も加われば、さらに返還請求は増えるだろう。
このままでは、いずれ07年3月期のような5000億円近い巨額の引当金積み増しを迫られる可能性は否定できない。となれば、大手ですら存続は危うい。また、すでに破綻も出始めた地方の中小貸金業者に至っては、壊滅状態に追い込まれるだろう。
消費者保護に向けた行政や司法の判断(表参照)は否定しない。だが一方で、出資法と利息制限法の二重の金利体系を認めてきた法体系やその金利帯での営業を認めてきた行政の監督責任はどうなるのか。このままでは貸し手はいなくなる。そのしっぺ返しは消費者に返ってくる。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)
第62回 | 最高裁と金融庁が放った“爆弾” 消費者金融は消滅する!? (2009年02月16日) |
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