準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が国内外で多額の裏金を作っていたとされる事件で、東京地検特捜部が裏金の使途解明のため、同社のダミーとして活動していた疑いがあるコンサルタント会社など3社を集中的に捜査していることが、関係者の話でわかった。西松建設が裏金を使う際に3社を取引に介在させるなどしていた疑いが持たれている。
特捜部は10日に、海外で作られた裏金7千万円を日本に不正に持ち込んだとして、西松建設前社長の国沢幹雄被告(70)を外国為替及び外国貿易法違反の罪で起訴。その後も、裏金の全容解明をめざし、捜査を継続している。
関係者によると、特捜部が関係先の捜索や関係者の事情聴取などを行っていたのが、東京都内の不動産会社とコンサルタント会社、宮城県内のゴルフ場運営会社の計3社。3社とも西松建設と資本関係はないが、同社のOBらが役員を務めている。
このうち都内の不動産会社は、西松建設の裏金が使われた疑いがある福島県の建設会社への融資で取引に介在していた。西松建設は03年以降に複数回にわたり、子会社「松栄不動産」を通じ、この不動産会社に2億数千万円の資金を提供。この金は福島県の建設会社に融資されたが、全く返済されず、偽装融資だった疑いがある。
不動産会社は融資開始の直前、港区の雑居ビルの一室に設立された。当時の役員らは西松建設の取引先関係者で、朝日新聞の取材に「名前を貸しただけ」と話しており、西松建設のダミー会社として使われていた。
また、西松建設OBが社長を務める都内のコンサルタント会社は、設計業務などで西松建設と連携していたが、特捜部は、裏金に絡む取引に利用された疑いもあるとみて、関係者の事情聴取などを進めている。