今朝の新聞は政治部としては、ニュースが盛りだくさんでした。産経とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査があり、日本記者クラブ主催の自民党総裁候補の公開討論会があり、総務省による平成19年分政治資金収支報告書(中央分)の公表があり…。政治資金関連では別面をつくり、政治面も広告スペースなしの「ノーズロ」(業界用語ですが、ズロースがないという意味らしい)とするなど、何とか記事を載せるための紙面確保が大変だったようです。
それで私は何をしていたかというと、外務省担当なのになぜか政治資金特集面で「小沢氏 資産30億円超」「不動産売却 〝疑惑〟は処分」という見出しの記事を書いています(産経は人数が少ないので、できることは何でもやるのです)。これは当初は無署名の記事だったのですが、途中から責任の所在を明確にするため私の署名が入れられました。別にかまいませんが。
記事は12字組で100行とそれなりに大きなものですが、私がいつも「紙面は狭い」とぼやいているように、やはりそれだけでは書ききれず、本当は盛り込みたいのに省いた内容も多いのです。そこで、本日は記事を疑問点を含め補足・付け足ししたいと思います。まずは記事を再掲します。
《次期衆院選の結果次第で首相の座に就く可能性がある民主党の小沢一郎代表は、自民党から“疑惑”を追及されていた約10億円分もの不動産の処分を進めており、「首相に就任したときのために身辺をきれいにしようとしている」(ベテラン秘書)との観測も出ている。また、小沢氏自身の政治団体や関係団体の保有資産は繰越金と不動産だけで計30億円以上に上り、その富裕さが際立っている。(阿比留瑠比)
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収支報告書や不動産登記簿によると、小沢氏の資金管理団体である「陸山会」が購入した12件の不動産のうち、東京・赤坂のマンション一室が昨年11月に1300万円で都内の建設会社に売却された。東京・麹町のマンションの一室も今年5月、小沢氏が理事を務める財団法人に譲渡。他の物件も東京・南青山のマンションを除き、設定されていた根抵当権が抹消されており、売却のための手続きが進んでいるようだ。
小沢事務所は、「根抵当権の解除は(金融機関から借りた購入資金の)ローンが終わったことが要因だが、法律(不動産所有を禁じる改正政治資金規正法)の趣旨にのっとり、処分を進める方針に変わりはない。不動産は現在も政治活動に使用しているため、今後は使用状況に応じて、可能な範囲で処分を進める」と説明している。
収支報告書によると、未処分の不動産の使途は小沢氏の秘書の住居や事務所とされる。小沢氏の秘書数については、「公設秘書、私設秘書、書生、研修生、ボランティアなど多くの人間がかかわっているので一概に言えないが、20人前後」(小沢事務所)という。陸山会の支出のうち、人件費は597万5000円だ。
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「キミの財産寄こせよ」
今年5月、衆院選に向けた民主党の選挙資金の金策に頭を悩ます小沢氏が半分冗談まじりに、政界有数の資産家である鳩山由紀夫幹事長に、私財提供を求めたことがあった。鳩山氏は「代表も(マンションなど)建物を売ればいいじゃないですか」と混ぜっ返したとされるが、小沢氏自身は政治資金に不自由することはなさそうだ。
収支報告書によると、小沢氏側近の平野貞夫元参院議員がともに会計責任者を務め、小沢氏の関係団体である改革国民会議の繰越金は11億1104万円、改革フォーラム21の繰越金は6億9036万円。2団体だけで計18億円以上がプールされ、「政権奪取のための小沢氏の軍資金」(自民党議員)とみられている。改革国民会議は小沢氏が党首だった自由党の政治団体、改革フォーラム21は小沢氏が代表幹事を務めた新生党の政治団体だった。
自由党は平成15年9月26日の解党の2日前、合併相手の民主党からなぜか2億9540万円もの寄付を受けた一方、解党当日には、改革国民会議に13億6816万円を寄付している。このため、国会で「政党助成金の返還逃れではないか」(故松岡利勝元農水相)と追及されたこともあり、“疑惑”は消えていない。》
…まず、この小沢氏の政治資金のありようについては、実は約20年間小沢氏の秘書を務め(それ以前にも5年ほど小沢氏の選挙の手伝いをしていたと言いますから、関係は四半世紀に上ります)、「側近中の側近」と言われた高橋嘉信元衆院議員からコメントをとっていたのですが、100行という枠内では盛り込めませんでした。高橋氏はずいぶんと言葉を選んで慎重に述べていましたが、それについてはブログに書いてもいいと許可をとってあるので、ここに記します。
「自由党が民主党と合併するときのお金、あれは政党助成金も含まれているとしか言いようがない。民主党と合併した際の自由党のお金、資金は国民からの税金も入っていたとしか説明しようがない。これは国に返すか、もしくは、一緒の党になっている民主党の中で使途について検討すべきだ。本人の自由に使えるという言い方は、国民の批判を免れない」
さて、小沢氏は不動産について「問題と言うならいつでも処分する」と言っていた通り、1994年に1699万円で購入したマンション「プライム赤坂」(16.86平方メートル、79年10月新築)を昨年11月、都内の建設会社に1300万円で売却しています。登記簿によると、この会社はけっこう資金繰りが厳しいのか、今年2月、7000万円を年利15%もの高利で借り入れ、早速このマンションを抵当に入れています。事情は分かりませんが、何のためにこんな小さな部屋を買ったのかと不思議に感じました。
記事に書いた改革国民会議と改革フォーラム21の巨額な繰越金計約18億円に関しては、自民党側には「報告書には記載されているが、実際はもう不動産購入費用か何かに使ってしまっていて本当はないということもありうる。調べようがないし」という疑問もあるようです。まあ確かに、収支報告書に書いてある通りの額が銀行にあるかどうかは、司法関係者か銀行サイドにしか分かりませんしね。あくまで憶測レベルの話でしょうが…。
それと、昨年9月に公表された平成18年の政治資金収支報告書では、改革国民会議の支出欄に「講演謝礼50万円 勝谷誠彦」とありましたが、今年公表の19年分では小沢一郎政経研究会の支出欄に同じく「講演謝礼50万円 勝谷誠彦」という記載事項を見つけました。お気に入りのようです。ちなみに、同会の支出欄には元日刊ゲンダイニュース編集部長の二木啓孝氏とジャーナリストの高野孟氏の名前もありましたが、二人の講演謝礼はともに30万円でした。下世話なことを言うようですが、この微妙な差は何でしょうか。ちょっと気になりますね(笑)。改革国民会議の方は、森田総合研究所、松原隆一郎氏など3カ所・人に50万円ずつ講演謝礼を払っていました。18年分では森田実と個人名だったのですが、19年分は研究所名になっています。この顔ぶれは、何と言うか分かりやすいですね。
また、小沢氏の資金管理団体「陸山会」が支払っている弁護士顧問料は約360万円にも上っています。私は相場を知らないので何とも言えませんが、政治家も大変だなあと思います。陸山会は、小沢氏への借入金の利子支払い分としても約60万円を支払っていますし、国民の浄財(献金)と税金(政党助成金、陸山会は民主党岩手県第4総支部から昨年、5000万円の寄付を受けています)の使われ方もいろいろだなあとしみじみ思う次第です。
by zoo
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