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農水省、汚染米を食用売却 タイ産、市場には流出せず

2008年12月19日20時46分

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 農林水産省は19日、同省が10月に食用として売ったタイ産米から見つかったカビ状物質から、カビ毒の「アフラトキシンB1」が検出されたと発表した。カビ毒が検出された米を使った食品は出荷停止され、市場には出回っていないという。事故米問題で政府は「汚染米を流通させない」と打ち出したばかりだった。

 農水省によると、カビ毒が検出されたのは、今年6月にタイから輸入された3508トンの一部。輸入義務のあるミニマムアクセス米で、米粒を砕いた状態で輸入された。麻袋とコンテナ袋に詰めて輸入され、厚生労働省は麻袋の一部を抽出して検査したが、カビ毒は検出されなかった。

 農水省から24トンを購入した米加工業者が10月22日に米の搬入を受けた際に、1トンずつ詰めた袋の一つから180グラムのカビの塊を見つけた。ほかの23袋には異常はなかった。

 連絡を受けた農水省がカビの塊を検査機関で分析したところ、今月に入ってカビ毒のアフラトキシンB1の検出が確認されたという。アフラトキシンB1は強い発がん性があり、食品衛生法で検出されてはならないとされている。

 これまでに、輸入米からカビ毒が検出されたのは、04年のベトナム産、06年の米国産と、同年の中国産の3回。いずれも事故米として工業用に売却して食用への不正転売を招いたが、今回は同省が食用として売却した米の中からカビ毒が初めて検出された。

 農水省は、輸入されたときのコンテナ袋に入れた状態のまま倉庫に保管。売却時は、袋の外側から変色やカビの発生はないか目で確認しただけで、袋の中身までは確認せず、購入業者に渡してきたという。同省は「引き渡し前に袋を開けて詰め替えるなどして目視を徹底する」という。

 同じ船で輸入されたタイ産米は計87トンが3社に売られているが、今回の分を除きカビ毒は見つかっていない。

 農水省総合食料局は、問題の米を使った食品が市場に流通していないとして、「消費者に注意をお願いする必要がない」ことを理由に売却先の業者名や所在地は一切公表していない。いつの入札で売却したかについても、「業者名の特定につながるため、公表できない」としている。(歌野清一郎)

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