咲洲トンネルの回数券。利用するごとに裏面に通算利用回数が刻印される
大阪市の第三セクター「大阪港トランスポートシステム」(住之江区、岸野和雄社長)は16日、同社が販売する大阪港咲洲(さき・しま)トンネルの回数券約1万1千枚(2億2800万円相当)を紛失したと発表した。同社は、回数券の管理を担当していた元男性社員が関与している可能性が高いとして、近く業務上横領容疑で大阪府警に告訴する方針。
咲洲トンネルは、住之江区の人工島・咲洲地区と港区の天保山地区を結ぶ約2.2キロの海底トンネル。通行料は普通車200円、大型車400円で、回数券はプリペイド式の磁気カードで11回券、60回券、100回券の3種類ある。同社が市の委託を受け、97年のトンネル開業時から料金徴収をしている。
昨年9月、市監査事務局の調査で在庫枚数が台帳上の枚数より大幅に不足していることが判明。同社が調べたところ、開業以来、計約1万1千枚の回数券の所在が不明になっていた。同社は回数券を保管する金庫を元社員が1人で管理していたことから、着服の可能性が高いと判断。元社員は同社に「知らない」と関与を否定しているが、その後、健康上の問題を理由に依願退職した。
同社によると、毎年度末には監査法人が台帳と在庫数を確認していたが、在庫不足の指摘はなかったという。同社は「監査法人の担当者が、実際は在庫数をチェックしていなかった可能性がある」として、今後監査法人に対しても説明を求める方針。
同社は74年設立で、公共トラックターミナルの管理運営などが主な事業。従業員24人のうち、役員4人を含む11人が市OB。元社員は市OBではないという。市港湾局は「紛失したカード分の通行料は本来市に納入されるべきもの」として、同社に紛失分の支払いを要求、指定管理者の解除も検討するという。