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派遣切りキヤノン“天下り”機関設立…大物受け皿に

初代理事長に前日銀総裁・福井俊彦氏

 キヤノンが昨年12月に設立した研究所が波紋を広げている。子会社の請負社員ら1000人以上を削減する一方、この研究所には10億円も拠出。しかも、初代理事長には日銀総裁を昨年春退任したばかりの福井俊彦氏(73)が就いたことから、天下り機関ではないかとの疑いの目を向けられ、国会でも取り上げられた。「派遣切り」がクローズアップされるなかでの設立は、あまりにも間が悪かったようだ。

【評議委員は御手洗会長と同い年がズラリ】

 この研究所はキヤノンが昨年12月1日付で設立した財団法人「キヤノングローバル戦略研究所」(東京・丸の内)。同社が10億円を基本財産として拠出している。

 財団の評議委員には、日本経団連会長でもある御手洗冨士夫キヤノン会長(73)のほか、三菱東京UFJ銀行の三木繁光相談役(73)、住友商事の宮原賢次相談役(73)、第一生命保険の森田富治郎会長(68)と、そうそうたるメンバーが名前を連ねている。同い年(73歳)の重鎮が多いのも特徴のようだ。

 キヤノンによると、同研究所の目的は、日本や世界の将来の方向性を的確にとらえ、さまざまな課題をグローバルな視点で調査、分析し、情報を発信すること。

 昨年3月に日銀総裁を退任したばかりの福井氏が初代理事長に就任することについては、「福井氏は金融・経済分野をはじめとして、幅広い分野で世界的なレベルでの知識、名声があり、幅広い人脈を持ち、シンクタンク運営の経験もある。研究所をリードするのにもっともふさわしい人物」(キヤノン広報部)と説明する。

 ただ、同研究所は不透明な部分も多い。

 東京・丸の内のビルにオフィスを立ち上げ、20人の研究員を確保し、研究活動以外にも出版、講演会などの事業を予定しているとキヤノンはいうが、具体的な陣容や活動スケジュールに関しては「現在、検討中」(同)という段階。

 また、理事長の福井氏も、日銀総裁時代の2006年に不祥事が発覚。証券取引法違反容疑で逮捕、起訴された元ファンド代表、村上世彰被告(49)=控訴中=が運用していた投資ファンドに出資していたことが、中央銀行のトップとして不適切として国会で大問題になった人物だ。

 永田町では「請負社員を切りながら、日銀総裁経験者を天下りさせるために気前よくシンクタンクを作ったとしか思えない」との声も。民主党の枝野幸男衆院議員(44)が1月9日の衆院予算委員会で同研究所を取り上げ、話題になった。

 キヤノンは、研究所の運営にかかる費用について、「将来的には基本財産の運用益で運営できるようにしたいと考えているが、立ち上げ当初はキヤノンからの寄付でまかなう予定」(広報部)としている。

 つまり、キヤノンがこの研究所にどの程度まで資金をつぎ込むことになるのか、現時点では分からないわけだ。

 世界的な景気後退で販売が伸び悩んでいるキヤノンは、09年12月期の連結営業利益が前期比23.3%減となる見通し。これを受けて、カメラ生産子会社「大分キヤノン」(大分県国東市)は、1000人以上の請負社員らの削減を決めた。

 その一方で、疑いの目で見られるような研究所を気前よく立ち上げ、いくらつぎ込むか分からないような状況となれば、世間のひんしゅくを買うのも仕方なさそうだ。

 当の福井氏は1月12日に設立会見を開き、「日本経済を世界のなかで深く分析して政策提言するほか、日本からグローバルに発信するシンクタンクにしたい」と高らかに宣言。世間の冷たい視線など意に介していないような様子だった。

ZAKZAK 2009/01/26

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