東京都新宿区信濃町の葬儀会社・帝都典礼のビルで16日、エレベーターに乗ろうと手動式の扉を開けた男性が転落した事故で、1階の扉のロック装置に不具合があった可能性が高いことが、警視庁への取材でわかった。男性は同日午後11時ごろ、搬送先の病院で死亡した。同庁は、昇降機が到着していないのに扉が開いたことが事故につながったとみて、現場検証などを通じて原因を究明する。
四谷署によると、男性は同区南元町、そば店経営塚田敏雄さん(74)。妻(67)によると、塚田さんは同ビルに出前を午前11時半に届けられるよう、同20分に店を出たという。倒れている塚田さんが見つけられたのは同50分ごろ。1階でエレベーターに乗ろうとして手動式の鉄製の扉を開け、約4.4メートル下に転落したとみられる。昇降機は5階に停止していた。
製造元の三精輸送機(本社・大阪府吹田市)によると、エレベーターは700キログラム積載の荷物用。各階にある扉と昇降機に付いた扉をそれぞれ手動で開けて乗り降りする。各階の扉にはロック装置が付いており、昇降機が停止した階の扉だけが開けられる。63年に製造され、翌年から使用されていた。
同社が年1回の法定点検、月2回の定期点検を請け負っており、今月4日の点検では異状は見当たらなかったという。帝都典礼によると、社員には荷物搬送以外に使わないよう注意していたという。