◎内閣府、文科省 調査は進路状況に焦点
内閣府と文科省が不登校、高校中退した生徒の追跡調査を開始することがわかった。調査のおもな対象は2004年度に不登校または高校中退をした人。進路状況や支援状況についてのアンケート調査が行なわれる。不登校の追跡調査は10年ぶり、高校中退の追跡調査は13年ぶりとなる。
前回の追跡調査は文科省が進めたが、今回は内閣府が主体で進められる。
昨年12月、内閣府は青少年大綱をとりまとめ、重点課題として「困難を抱える青少年を切れ目なく支援する取り組み」を掲げるなど、不登校、ニートの自立対策に力を入れる方針だ。今回の調査もその一環で、内閣府は「不登校、高校中退を経験した人が、現在、どんな状況に置かれているのか、その進路、支援状況を把握するのが一番の調査目的」だと話す。
調査規模は3000人程度を見込んでおり、各学校に調査協力を依頼する。前回の不登校追跡調査では現代教育研究会(森田洋司代表)が集計、分析を行なったが、今回は外部委託をせず、集計結果をとりまとめるだけにとどまる。
質問内容は、進学や進路状況、当時の心境、役に立った支援、希望する支援など。内閣府は「来年度の政策に反映させるため、なるべくスピーディーに集計をしたい」という意向もあり、前回調査よりも質問項目は絞られる予定だ。
99年に実施された不登校追跡調査では、「不登校の意識・評価」の結果に注目が集まった。「不登校について、ふり返ってどう思っているか?」という質問に対し、「むしろよかった」28%、「後悔している」36%という結果が得られた。また、不登校が現在の状況に及ぼす影響については、「マイナスではない」39%、「マイナス」24%、という結果になった。
社会的には、けっしてプラス評価を受けるわけではない不登校だが、本人たちの評価は二分していたと言える。
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追跡調査は、指導要録などの情報をもとに調査対象が絞られることから、自治体や市民側から「目的外使用」だという指摘もあがっていた。この点について、文科省は「すべての自治体に協力が得られるとは思っていないが、調査の意義を理解していただいてなるべく多くの協力を得たい」と話している。
追跡調査は年度内の発表を目標に取り組まれており、調査方法やその結果に注目が集まっている。