西日本新聞

3児死亡控訴審 「罪に向き合って」 福岡高裁 両親が初の意見陳述

2009年1月30日 13:54 カテゴリー:社会 九州・山口 > 福岡

 福岡市東区で2006年8月に起きた飲酒運転3児死亡事故で、業務上過失致死傷などの罪で懲役7年6月の判決を受けた元同市職員今林大(ふとし)被告(24)の控訴審の公判が30日、福岡高裁(陶山博生裁判長)であり、3児の父大上哲央(あきお)さん(35)と母かおりさん(32)が意見陳述し「被告は自分が犯した罪に向き合ってほしい」と訴えた。

 大上さん夫妻が法廷で意見陳述するのは1、2審を通じて初めて。哲央さんは「あなた(被告)は私が居眠り運転したと主張しているが断じてない。身内や友人からも私に過失があるのではと疑われた。虚偽の事実でぬれぎぬを着せる行為は開き直りで、反省が伝わってこない」と語った。

 かおりさんは、今林被告に追突され海中に転落した車両から幼児2人を救出し、3人目を助けようとしたら2人を抱いて泳ぐ夫が海に沈みかけたとし「今まで直面したことのない恐ろしい選択。私は夫のところに行き、1人をあきらめざるを得なかった」と話した。

 その上で「そのときあなた(被告)は現場から逃げ去った。自分の意思で飲酒運転し、事故後も救出せずに逃げた行為は殺人犯に等しい」と厳罰を求めた。

 続いて、検察側が最終弁論で被告について「正常な運転は困難な状態だった」と主張し、1審判決を破棄して、より刑の重い危険運転致死傷罪を適用するように求めた。

 公判後、大上さん夫妻は記者会見し、哲央さんは「今まで苦しんできた思いを訴えることができた。被告には本当に心から反省してほしい」と訴えた。次回公判は2月27日で、弁護側が最終弁論して結審する予定。

=2009/01/30付 西日本新聞夕刊=

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