ミニチュア世界を作り出す指先の魔術師
博物館や資料館に展示されているジオラマ。風景や遺跡を細部まで忠実に再現した仕事ぶりにはいつも驚かされますが、一体どんな人が作っているのでしょう。数多くのジオラマを手掛けてきたトリアド工房さんを訪ねました。
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小さいころからプラモデルが大好き。募集広告を見た時、「これだ!」って思いました。
「見てください! これが最近手掛けた大正時代の撚糸(ねんし)工場のジオラマですよ」。そう言って作品を見せてくれた播田さん。24歳でこの世界に飛び込んで7年目。31歳の若きジオラマ職人です。
※写真中のジオラマ模型は、「神奈川県愛川町の郷土資料館」で展示予定の資料で す。
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54センチ四方の中に、20分の1の縮尺で機織り工場を再現しています。
「ほらココ。この機織り機に糸を通す部分が一番大変だったんです。細かい作業が得意の僕も、さすがに気が狂いそうになったほどです(笑)」。えっ、どこですか? もっと近くに寄ってみましょう。
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大正時代の写真を参考に、縮尺に気を付けて細部までリアルさが追求されています。
「サラシの布を引き裂いて糸を作り、機械に1本1本ピンセットで取り付けていきました。根気のいる作業で、よれないようにするのが大変でしたよ」。手前に置いた百円玉と比べるとその小ささがよく分かりますよね!