06年の介護保険制度改正で始まった「小規模多機能居宅介護」について考えるシンポジウム「地域で支える介護を目指して」(市など主催)が14日、中央区天神の都久志会館であった。市のモデル事業に取り組む3事業者が実践報告し「地域や医療との連携が重要」と強調した。
小規模多機能は、高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう、通所を中心に訪問や宿泊のサービスも提供する。市は08年度までの3年で、市内37圏域に1事業所ずつの整備を掲げたが、多様なサービスを提供する体制づくりや経営の難しさなどから14事業所にとどまっているという。
シンポでは、「家族」「地域」「医療」との連携をテーマに調査研究する市のモデル事業に参加した3事業所が事例を発表。「小規模多機能ホームみなみ」(南区野多目)の日永田紀子さんは、脳に障害を負った男性(83)と介護する妻を24時間体制で支え、緊急連絡に応じて夜間も駆けつけた事例から「家族が安心感や介護の自信を持てるようになり、在宅生活の継続につながった」と報告した。
市の小規模多機能を調査した永田千鶴・熊本大准教授は「8割以上の利用者の介護度や認知症が改善し、小規模多機能は将来性が期待できる。介護報酬の引き上げや医療・看護が提供できる体制整備が必要」と指摘した。【柳原美砂子】
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2009年2月15日 地方版