新型インフルエンザの感染防止に向けた実働訓練が15日、鳥取市の鳥取空港と県立中央病院で行われた。県や全日本空輸など8機関計約100人が参加した大規模な訓練で、今回が初めて。参加者は発症者への対応を入念に確認し、専門家らの意見に熱心に耳を傾けていた。
県によると、新型インフルエンザが国内で流行した場合、県内では最大約15万人が発症し、約3000人が死亡するとみられる。県は事態に備えて昨年7月、図上訓練を行い、8月には対策マニュアルの運用も始めた。
今回は、国内初の発症者と行動を共にした2人が羽田空港から鳥取空港に向けて出発。機内で1人が発症し、もう1人も到着後に発症すると想定した。
訓練を前に平井伸治知事は「(流行は)事実上のカウントダウンに入った」と述べ、参加者らが表情を引き締めていた。訓練では、機内の乗客を感染度に応じて3グループに分け、中央病院や空港施設に移動させた。
空港では、感染可能性の高い客に「他人との接触を避けるように」と県職員が指示。空港施設の消毒も行われた。中央病院に搬送された感染者には医師が診察や検査を行った。
訓練後、専門家からは、感染経路となる手に注意▽対応スタッフの人数確保▽情報の集約化が大切--などの意見が出された。【小島健志】
毎日新聞 2009年2月16日 地方版