中曽根弘文外相は17日のクリントン米国務長官との会談で、パキスタンの支援策を話し合う国際会議の日本開催を提案する方針を固めた。パキスタン経済は世界的な金融危機の影響で破綻(はたん)の危機に直面しているほか、隣国のアフガニスタンとの国境地帯の治安悪化が指摘されている。日本はパキスタン支援の国際的な枠組みづくりを主導することで、アフガニスタンでの「テロとの戦い」を重視するオバマ政権を間接的に支える意向だ。
クリントン長官は16日夜、来日。17日午前に外相会談をし、午後から共同記者会見に臨む。
パキスタン支援の国際的な枠組みとしては、昨年9月、米ニューヨークで米英両国の主導で日本や中国、国連など14カ国・機関が参加した「フレンズ・グループ会合」が開かれた。その後のパキスタンの急激な経済・治安情勢の悪化を受けて、日本政府は支援強化を加速させるため新たな会議の創設を検討。これまでの日米間の交渉で、日本での開催については「米国側も歓迎している」(外務省幹部)という。日本政府は今春の開催に向けてパキスタンのほか、欧州連合(EU)や中国などの同意取り付けを急ぎ、閣僚級の会議としたい考えだ。
このほか両外相は17日の会談を踏まえ、在沖縄米海兵隊のグアム移転に関する協定に署名する。協定は、移転について日本の財政拠出の上限を28億ドルと明記するほか、米側に目的外使用を禁じる内容を盛り込む。
クリントン長官は17日、浜田靖一防衛相と会談するほか、皇居で皇后さまのお茶会に出席。麻生首相とは同日夜、会談し、首相主催の夕食会に参加する。民主党の小沢一郎代表とはこの後会談し、18日午前、日本をたつ。【川上克己】
毎日新聞 2009年2月16日 東京朝刊