東京・赤坂にあるビルの上階を取材で訪れた。遠くに新宿の高層ビル街を望み、眼下には青山通りを挟んで広がる赤坂御用地の緑の中に建物がたたずむ。それが三笠宮さまなど宮家の方のお住まいと聞かされ、つつましやかに見えるのに驚いた。周囲に点在する宮内庁職員宿舎はトタンぶきだ。
皇室、とりわけ宮家の方々の暮らしぶりは意外に質素だ。天皇、皇太子両ご一家には私的費用として年計3億2400万円の「内廷費」が計上されているが、祭祀(さいし)にかかる私的雇用職員の人件費などが多いとされる。まして6宮家(18人)への同種の「皇族費」は計約2億8000万円にとどまり、光熱費や電話代、御料牧場の製品購入、さらに出産費用まで「持ち出し」だという。皇族費は戦後、96年まで1~6年ごとに増えていたが、それ以降は13年間据え置かれたままだ。
皇室で41年ぶりとなる男子が誕生した秋篠宮家も宮家の一つ。「我が家のように節約をされるのだろうか」と、高みから余計な心配をしてしまった。【松下英志】
毎日新聞 2009年2月16日 12時48分