HTV(宇宙ステーション補給機)

開発中

プロジェクトトピックス


2008年12月26日 更新

宇宙ステーション補給機(HTV)プレス公開

2008年12月25日、筑波宇宙センター(TKSC)にて、宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)技術実証機(初号機)構成要素の全機結合後、初めてプレス公開が行われました。

プレス公開では、虎野吉彦HTVプロジェクトマネージャによるHTVの説明、中村富久H-IIBプロジェクトマネージャによるHTVを打ち上げるH-IIBロケットの説明が行われました。また、塩谷雅人京都大学生存圏研究所教授から、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submilimeter-Wave Limb-Emission Sounder : SMILES)の説明が行われました。SMILESは「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームに取り付けられる実験装置のひとつで、HTV初号機に搭載されて国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれる予定です。

そのほか、TKSCの総合環境試験棟にて、全機機能試験中のHTV初号機とSMILESが公開されました。プレス公開では、全機機能試験を行うため、HTVの構成要素である「補給キャリア与圧部」と「補給キャリア非与圧部」の貨物区画、そして、「電気モジュール」、「推進モジュール」を結合したHTV初号機が公開されました。また、機能試験に必要なダミーカーゴを搭載した「曝露パレット」およびSMILESも公開されました。

今後、HTV初号機は、機械的・電気的にHTV全機を結合した状態で、配管や電気系統の導通確認などHTV全体の確認を行う全機機能試験や、各種適合性試験などが行われた後、2009年4月以降に種子島宇宙センターに搬送され、同夏季以降にH-IIBロケットに搭載されて種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。

プロジェクトマネージャから


私たちが開発している宇宙ステーション補給機は、ISSで必要とされる物資を地上からISSに補給する役目を負っています。
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プロジェクト概要


プリント

国際宇宙ステーションへの補給の要
H-II Transfer Vehicle(HTV)

宇宙空間という特別な環境を利用して、地球・天体の観測や、宇宙での実験・研究などを行う国際宇宙ステーション計画(ISS)。15カ国が協力する国際プロジェクトで、日本も日本初の有人実験施設となる「きぼう」日本実験棟で参加しています。
このステーションでは、2000年10月から3名の宇宙飛行士による常時滞在が始まっています。長期滞在のため、宇宙飛行士の食糧や衣類、各種実験装置などを補給する輸送業務は欠かせません。これまでアメリカのスペースシャトルとロシアのソユーズやプログレスが輸送を受け持っていましたが、日本も 1997年度から独自の補給機の開発に着手しています。
この国際宇宙ステーションへの補給機がHTV(H-II Transfer Vehicle)です。H-IIBロケット(開発中)の先端に付けて打ち上げる無人の軌道間輸送機で、食糧や衣類、各種実験装置など最大6トンの補給物資を地上約400キロメートル上空の軌道上にある国際宇宙ステーションに送り届け、補給が済むと用途を終えた実験機器や使用後の衣類などを積み込み、大気圏に再突入して燃やします。一連の補給作業には、国際宇宙ステーションとのランデブーやドッキングも行われるため、優れた安全性が要求されますが、日本は技術試験衛星VII型(おりひめ・ひこぼし)で培った技術を基に、H-II/H-IIAロケットの開発で得られた機体設計技術なども適用し、低コストで信頼性の高い輸送手段としての実用化をめざしています。また、HTVの運用を通じて、将来のフリーフライヤーや有人輸送の基盤となる技術の蓄積が可能となります。


HTVの機体はこのような構成になっています

HTVは直径約4メートル全長10メートル弱、観光バスが収まる大きさです。機体は大別して3つの部分から成り立っています。最後部には軌道変換用のメインエンジン、姿勢制御用のRCSスラスタとそれらに推進薬を供給する燃料/酸化剤タンク、高圧気蓄器等が搭載される「推進モジュール」。中程には、誘導制御系・電力供給系・通信データ処理系の各電子機器が搭載される「電気モジュール」。そして先頭には、補給物資を格納する「補給キャリア」という構成です。

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