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ネットいじめ、悩む教育現場 民間への監視委託広がる

2009年2月16日

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写真子どもに携帯を持たせないようにする運動も各地で起きている。「持たない勇気! 持たせない愛!」。「脱ケータイ」を宣言した福岡県芦屋町では、こんな看板が掲げられているグラフ携帯電話保有率

 携帯電話の広がりで、年を追うごとに深刻化する子どもの「ネットいじめ」。最初はその気がなくても、軽い気持ちで書き込むうちに、どんどん表現が過激になっていく傾向がある。対策に悩む教育現場では、民間業者に監視を委託する動きが出ている。(宮本茂頼)

 転校して間もない昨年7月、さいたま市の中3の女子生徒が同級生から「ネットいじめ」を受け、3カ月後に自殺する――。こんな事実が、今年1月に明らかになった。

 「転校生、うまくすれば不登校になるんじゃん」

 両親によると、自殺した生徒がそんな書き込みを見つけたのは、同級生が作成した携帯電話の「プロフ」と呼ばれるサイトだった。

 プロフとは、自己紹介サイト。学校名やニックネームを記していれば、知り合いなら、だれのサイトかわかる。ネットでの「名刺代わり」として人気があり、閲覧者も書き込めることから、やり取りが広がることが多い。

 両親によると、自殺した生徒は自分の中学校名を検索してたどり、このプロフに行き当たったらしい。そこには、転校生である自分を話題にした文脈で、「きもい」「一緒のプールに入りたくない」といった記述もあったという。

 プロフ同様、「学校裏サイト」もネットいじめの舞台になっている。学校が公に設けているわけではない非公式のサイト。ネット上で個人が掲示板を立ち上げ、たくさんの書き込みで広がっていく。文部科学省によると、08年の調査では全国で約3万8千件が確認された。

 文科省の昨年12月1日時点の調査では、携帯電話の学校への持ち込みを「原則禁止」としているところは小学校で94.2%、中学校では98.9%に及ぶ。同省も1月、国として「小中学校は持ち込み禁止」の指針を出した。しかし、書き込みは、学校でなくてもどこでもできる。「持ち込み禁止」が即、問題解決に結びつくわけではない。

 裏サイトやプロフなどを監視する民間会社「ガイアックス」(東京都渋谷区)。

 「キモくね」「うぜー。死ねよ」「ムカつくんだけど」

 発見した書き込みには、生徒の実名が記されていることもある。

 監視の依頼者は学校だ。他の生徒の中傷や個人情報をさらすような書き込み、援助交際の誘い……。発見すれば学校に報告するとともに、悪質なものはプロバイダーなどに削除を依頼する。

 同社は100以上のサイトを監視対象にしているほか、人気のプロフサイトなどと連携してスムーズに削除できるようにしている。「大人が見ているということを分からせれば抑止効果にもなる」と担当者は話す。

 教育委員会によっては、教員自らが監視するよう、学校にネットチェック用の携帯電話を配備するところも出ているが、現場はただでさえ忙しい。同社が現在契約しているのは15校ほどの私立学校だが「今後も増えるだろう」と言う。

 実際、東京都教委も、新年度から都内すべての公立学校について、専門業者にネットの監視を委託する方針を打ち出している。江東区教委も、都の動きと別に、独自に区立の全22中学校についてネット監視を業者に委託するという。

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