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振り込め被害金2億円、国庫へ 返還制度あるが申請なく

2009年2月15日3時0分

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 振り込め詐欺などの被害金の返還制度で、返還の申請がなく、国に納付される被害金が2億円を超えたことがわかった。被害者に返された分より多く、今後も増え続ける可能性が高い。被害にあった心当たりのある人は、振り込んだ口座を持つ金融機関に早めに相談しておくことで、一部でも取り戻せる可能性がある。

 全国銀行協会の調べによると、振り込め詐欺などに使われて凍結した口座数は昨年9月末で約14万、口座に残る被害金は71億1200万円にのぼり、さらに増え続けている。これらの残金を被害者に返せるようにしたのが、昨年6月に施行した「振り込め詐欺救済法」だった。

 金融機関は犯罪がらみの預金口座を見つけ次第、お金の出し入れを凍結する。被害者は預金保険機構の専用ホームページ(http://furikomesagi.dic.go.jp/)で、自分が振り込んでしまった口座が凍結対象になっているかどうかをチェック。こうした情報がホームページに載ってから約5カ月以内に分配を申請すれば、凍結した口座の残金から、申請した被害者が振り込んだ金額の比例案分で返ってくる。申請がなかったり、申請分が残金を下回ったりすれば残りは国に納付される。

 凍結口座にかかわる大半の情報開示はこれから。ネットが苦手な人を含めてより簡単なのは、前もって各金融機関の被害者照会受け付けに相談しておくことだ。

 実際の返還が始まった昨年12月以降、被害者へ返されたお金はのべ123の金融機関で、総額1億7771万円。一方、申請がなく国への納付が決まったお金は2億1659万円。

 金融庁が調査したところ「もうかかわりたくない」と被害者が申請を拒絶したり、被害者とみられる人の住所・電話番号が変わり連絡をとれなかったり、運用の「限界」も見えてきた。そもそもこの制度があまり知られておらず、凍結した口座を知らせる方法がネット限定である点なども、申請の少なさにつながっているようだ。

 金融庁は近く、国に納付されるお金の具体的な使い道や運用方法の改善について、議員立法にあたった議員らと検討を始める。(日浦統)

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