
存続の危機に立つ苔の園=小松市日用町
|
国内有数の苔(こけ)の群生地で、全国農村景観百選にも選ばれた小松市日用町の「苔
の園」が存続の危機に立たされている。入園者の減少による減収で維持管理が困難になり
、さらに市道拡幅に伴い撤去される事務所の移転用地が現時点で確保できていないため。
父親の遺志を継いで園を管理する大石孝博さん(61)は「このままでは閉園を検討しな
ければならなくなる」と頭を痛めている。
大石さんによると、苔の園の来園者はピーク時で年間一万人以上を数えたが、徐々に減
少。一昨年は六千人にとどまり、さらに昨年は景気の減速も影響し、約四千人に落ち込ん
だ。来園者の減少に伴い、入園料と並ぶ収入の柱である苔の販売額も大きく減少した。
苔の園は借地で、地権者に賃貸料を支払っている。このほか、苔の保存状態を保つため
に二日に一回行っている清掃費、一カ月に五万円程度の光熱費の負担が掛かる。
加えて大石さんが頭を悩ませるのは、約一ヘクタールの敷地の二割が市道打木粟津線の
拡幅工事予定地に入り、事務所兼住宅を来年三月末までに撤去しなければならないことだ
。新たな事務所用地は見つかっておらず、園の継続が危ぶまれるという。
冬季休業中の苔の園は三月中旬に今季の営業を開始する。大石さんは「往時のにぎわい
を取り戻すのは難しいが、苔の園は小松の貴重な観光地。存続の道を探っていきたい」と
話した。