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【断 横田由美子】不幸に甘える若者たち (1/2ページ)
このニュースのトピックス:労働・雇用
世の中「派遣切り」一色である。毎日のように企業の人員削減が報じられている。ちょっとしたタイミングや病気などで派遣社員として働かざるを得なくなり、何の落ち度もないのに、突然、仕事や住む場所を失った人は、本当に気の毒としか言いようがない。
しかし最近、「おれは派遣切りされた」と主張する若者たちと話していて、腑(ふ)に落ちないことがよくある。彼らの言い分は主にこうだ。景気が悪いのも、職を得られないのも、定住できないのも、政治の責任だ。カネがないから、恋人も結婚もできない。少子化が進むのも当然だ。一連の派遣切りに関する報道に影響されたのか、自分たちは何も悪くないのだから、救ってもらって当然というような論理を展開する。
懸命に働き必死で家族を養ってきたのに企業の勝手な事情で職を失った人と、こうした若者が同じ土俵で扱われている状況に納得のいかないものを感じてしまう。
少し前、「内定切り」にあった大学生が100万円の補償金をもらうというニュースが注目された。大学生のひとりが、取材で「人生を台無しにされた。納得がいかない」という趣旨の発言をしていたが、あいた口がふさがらなかった。切りつめれば半年近く食いつなげる。逆に今、その額をもらえるのは幸運だろう。