キヤノンの工場建設をめぐる脱税事件で、法人税法違反容疑で逮捕された会社社長の大賀規久容疑者(65)が大手ゼネコン「鹿島」(東京)などにあっせんした工事の受注総額が、捜査対象分だけで1千億円を超えることが分かった。受注の「謝礼」として鹿島などから社長側に渡されたコンサルタント料と裏金などの総額が約45億円に上ることも判明。一連の大規模プロジェクトを舞台にした事件の全体像が浮かび上がった。
鹿島は当初、こうした謝礼を社長側との契約に従って支払っていたが、次第に裏金を捻出(ねんしゅつ)して渡す手法に変更。きっかけは、営業経費として認められる限度を超えた謝礼を要求されたためという。
関係者によると、大賀社長は東京地検特捜部の調べに「裏金は受け取っていない」などと容疑を否認している。
特捜部などが調べているのは、いずれも大賀社長が経営する内装工事会社「ライトブラック」(LB)と「大光」(いずれも大分市)の05、06年の決算期と建設会社「匠」(東京都千代田区)の06年の決算期。
関係者によると、この期間中に、大賀社長があっせんしたことで鹿島が受注できたキヤノンの施設は、(1)光学技術研究所(宇都宮市)(2)矢向プロジェクト(川崎市)(3)塚越プロジェクト(同)(4)大分キヤノン第二工場(大分市)(5)大分キヤノンマテリアル大分事業所(同)。期間中にキヤノンが発注した10億円以上の工事の4分の1を占めた。
また、電気設備工事大手の九電工(福岡市)も(2)〜(5)の工事について、鹿島の下請けとして電気工事を請け負っており、五つの工事を通じた2社の受注総額は1千億円に達しているという。