未婚の日本人男性と外国人女性の間に生まれた子が、父の認知があれば国籍を取得できる改正国籍法施行を受け、法務省が一月から強化した偽装認知防止策に改正を推進した政党などから批判が出ている。厳しくなった国籍取得届の審査方法を両親が結婚しているケースにも一律適用しているためだ。
これまでは婚姻届など結婚を証明できる書類がそろっていれば基本的に国籍取得できた。しかし法改正までの審議過程で、不当取得のため偽装認知が横行しかねないとの懸念が出たことを踏まえ審査方法が改正された。
具体的には、法務局の審査時に(1)母が妊娠した時期に関する父母の渡航履歴証明書(2)認知に至った経緯を記載した父母の申述書(3)父母と子の三人が一緒に写った写真など親子関係を認められる資料―など五項目の書類を提出しなければならなくなった。(1)と(2)が提出できない場合は理由書が必要となる。
法務省によると、改正法施行後の国籍取得届は一月末までに四十一件で、両親が結婚しているケースは二十二件。これらのケースにも厳しい審査が課せられている。
厳格化に対して法改正を推進した公明党などは「偽装防止は重要だが、審査が過剰になることで従来認められていた子の国籍取得まで抑制されるのは問題」(大口善徳同党法務部会長)と弾力的な運用を求めている。
法務省民事局は「結婚が国籍取得の要件でなくなった以上、認知だけの子と同じに扱わないと憲法違反だと言われかねない」と一律適用の正当性を主張しており、当面、論議が続きそうだ。
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