「チャレンジし続けて」、「成長して」、「お客様に貢献しよう」

佐々木

今、どのぐらいのスタッフがいるんですか？

井上

200人ですね。

佐々木

たくさんの方を面接していると思うんですけど、30代の経営者として、今の20代から30代の人を見ていて、言いたいことってありませんか？

井上

仕事はね、「自分を磨く石」だと思っています。それを何で磨くか、イチロー選手はバットで自分を磨いてるはずだし、ナカタはサッカーボールで磨いている。僕らは花で磨くんです。こうやっていろんな砥石で自分を磨いていても、気づくこととは、一緒だと思うんですよ。

運動やってて力を抜けって言われると、すごく難しいじゃないですか。でもね、力を抜けたらね、一流だと思うんです。力を抜く難しさっていうのは、何やっててもあるし、花もそうなんですけどね。ブーケを作らせたらすごくうまいのに、芸能人のような、何かちょっと有名な人が来て、「ブーケ作って」って言われると、力入ってくるんですよ。いつもはもっとうまいブーケ作るのに、「あれ？」っていうブーケができちゃうんです。

こんなふうに、花を作ってても力を抜く難しさは学べると思います。

だから何であれ一生懸命やれば行きつくところは一緒だと思うんですよ。それはね、どの砥石で自分を将来磨いてゆくのかな、という砥石を早く見つけられた人がすごく幸せだと思いますね。うちのスタッフなんか見てると、「自分の砥石は花」と言える人が非常に多いと思いますね。

佐々木

採用の時に気を付けていることってなんですか？

井上

僕が面接のときにいつも言っているのは、価値観が合うか合わないかということです。「ビジョナリーカンパニー」（『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』ジェームズ・C. コリンズ著・ 1995年9月刊・ 日経BP出版センター・ISBN：4822740315 ）でいう「誰をバスに乗せるか」ということが採用だと思うから、花のことを何も知らなくてもいいんです。うちの価値観なりに共鳴できるかどうかっていうところがいとだめなんですよ。

佐々木

わかります。わたしたちも「人材」でなく「人財」と呼んで、価値観のあう、マインドの高い人を採用する事にしています。その価値観に共鳴できるという点ですけど、どうやって井上さんは、確認していますか？

各地の店鋪は店長さんが？

井上

そうですね。店鋪は店長に任せています。社員になる時は僕が自分で面接しますよ。最初はアルバイトで入ってもらって、その後社員になる前に面接するんです。

佐々木

いきなり正社員というのはない？

井上

ないですね。3カ月は絶対アルバイト。

佐々木

価値観は何で見るんですか？

井上

うちは「チャレンジし続けて」、「成長して」、「お客さまに貢献しよう」という3つなんですよ。そこでね、「新しいことやろう！」と言うと、「うえーっ」て言う人は、そこでチャレンジしないんです。「いっぱい勉強したいんです」って言う人もいるけど、そこで終わっちゃうんですね。さらにね、チャレンジと成長はできても、そこで止まってしまう人も多いんですね。プロはその後それをいかに外に出して、表現して、お客さまに喜んでいただくかということだと思うんですけど、そこで引っ掛かってしまうという人はいたりしますね。どうしたらお客さまを喜ばせるんだろうというプロ意識があれば、採用ですよ。

佐々木

女性の採用はどうでしょう？　また男女差とか女性の特徴というのは感じますか？

採用にあたって。

井上

女性は多いですね。女性なんかで店長になる人間は根性ありますよね。あとね、体育会系の社員が多いんですよ。横浜で店長やってる人間は卓球でね、インターハイで準優勝になった。

佐々木

やっぱりちゃんと筋が通っている？

井上

やっぱりなんかね、一生懸命やっている。僕が面接の時に聞くのは、「あなたの人生で一番自分が頑張ったことは何？」です。そうすると、人間1回頑張った体験をした人は、あの時の苦しみに比べれば楽だなと思えるじゃないですか。1回頑張った頑張りがとんでもないことやってる人間は、少々のことではくじけないですよね。

そのインターハイで準優勝になったスタッフなんかは、そのこと言うんですよ。「毎朝20キロ、夜20キロ走ってました」とね。そんなことやってきた人間は、たいていのことはやりますよ。

佐々木

そのとおりですよね。

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