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win-win > 第1回 井上 英明 さん

花屋の本質に見えてくる小売業とサービス業
- 佐々木
花のビジネスをちょっとやってみよう、とはじめたはずなのに今は、100%以上花に専念してるじゃないですか。やっぱりこれだ、と思う瞬間があったの? イベント屋さんみたいなのはいつの間にかしなくなったの?
- 井上
だんだんと、イベントよりも花の仕事のほうが忙しくなって。あと、やっぱりね、ちょっと前に、折口さん(株式会社コムスン 代表取締役会長兼CEO)と話していたんだけど、お客さまの立場に立つというのは、非常に大切なこと。でも、もうひとつ大切なことがあって、「サービスの本質を把握する」っていうことなんですね。
「花の本質」は何なのかと考えてみると、例えば仏さんの花とお祝のスタンド花とかと、テーブルに置く花って、それが花の本質ではないと僕は思うんです。
例えばサザビーのような雑貨屋さんで買う時は、1,000円払ってグラスを持って帰るじゃないですか。お店出る時に、グラス持って帰りますよね。それも家に持ち帰っても使えるグラス。こんどはじゃあサービス業。ディズニーランドとかに行くと、出る時はもちろん手ブラ。家に帰っても何もない。だけど何千円かを使っているわけでしょ。
花屋に行くとどうかというと、お店を出る時に花を持って帰るじゃないですか。小売業のようにモノを売っている意識になってしまう。お客さんというのはこの花がずっと形として残るとか、これを何かに使おうなんて誰も思わないし、結局なくなってしまいますよね。なくなるっていう意味ではまさしくディズニーランドのようなサービス業と一緒です。それに1,000円を払われるということは、じゃあ何のためにお客さんって花を買うの? やっぱり僕は花っていうのは時間とか、空間が凝縮されたものじゃないかな、と思うんですね。
ディズニーランド行きたいんだけど行く暇もないしお金もかかるから、「明日は休みだ。仕事も終わったから、ちょっと気分良く週末を迎えたいんで花でも買うか」、そんな気持ちがあるんではないでしょうか?
まさしく「花のある時間」とか、空間を買っていらしゃると思うんです。
僕らはそういう意味では時間とか空間を売っているわけだから、非常にサービス業に意識を近くしないといけない。スタンド花みたいなね、お祝花に関していうと、あれはもう札を出すために花を添えるようなものなんすよ。スタンド花売ってます。これを飾ってお宅のお店をおしゃれにして、いい時間と空間を演出しませんか?というものじゃない。
お客さまがそのものの本質をどう見ているかに合わせて、対応を変えて行かないといけないと思っています。
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