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win-win > 第1回 井上 英明 さん

日銭商売をひねり出す
- 佐々木
そのイベント屋さんみたいな何でも屋さんから、今のお花のビジネスになったのはいつごろですか。
- 井上
会社作って1年後。誰だったかの経営の本を見てると、会社経営には日銭商売が一つあると非常に強いとあったんです。
キャッシュがふんだんに回ってて、その日銭を企画に投資していかないと、お金はしばらく準備期間があってからしか回らないでしょう。ふだんからキャッシュが回っている部門があると、会社経営は非常にやりやすいというのを読んで、なるほどなと感心しました。
そこで、うちもキャッシュで入ってくる日銭部門を作ったらいいな、何がいいかなと考えてリストアップして考えてました。それがちょうど花博(「国際花と緑の博覧会」1990年大阪・鶴見で開催。)の前だったんですよね。これからは花の時代だとか、花がいいとしきりに言われていました。お袋が生け花とかやってたし、僕もきれいなものはけっこう好きだったんで、じゃあちょっと市場へでも行ってみるかと。そこで、知り合いに花屋がいて、「花市場に連れて行ってよ」と頼んで行ったんです。
そしたらこの辺でねぇ1本7〜800円してるバラが、市場でなんと150円とか、そんなもんなんで、なんじゃこりゃ!と思って、やくざだなあと思って、僕もやるかと思って(笑)。
- 佐々木
「花屋になりたい」そんなとあこがれを持つ女の子って多いんでしょうが、何となく生の花を朝市場で仕入れてきて、売れなかったらどうしようとか枯れちゃったら売れないじゃないとかいろいろ心配してしまうでしょ。だから、実際にビジネスにするっていう人はなかなかいない気がするんですけれど。そのあたりの心配はありませんでしたか?
- 井上
7〜800円するものが100円とか150円とかでしょう。倍で売れば300円だけど、それは市価の半値以下じゃないですか。絶対売れると思いましたよね。その場で持っていた現金で2万円分くらいをがばっと買って、それを知り合いの代議士のところへがばっと持って行っきました。「ちょっと今花市場に寄って来たんですけど、これ300円ですけどどうですか」。そうやって売ろうとした。昔から知ってる代議士だったし、友だちの親父だったから、絶対断わらないなとは思ってたんだけど、そのときは、「ああ、おいとき」といわれ置いていきました。「お前突然モノ売りはじめて大丈夫か」とは言われましたね。
その後一週間くらい経って電話かかって来て、「いいぞ、これは」と。だって市場からまっすぐ持って行ってるから鮮度はこの上なくいいんですよ。市場の人に「いいのください」とか言ってるからモノはいいし、鮮度たるやピカイチですよ。市場直送便なんだから。
「もう一回持ってこい」とか、「他の秘書室紹介してあげるよ」。そうやってお客さんが増えていきました。最初はロスゼロですよ。売れる分しか買ってこないから。一回持っていって「どうですか」。そして「いいよ」って言われたら「毎週定期的にお持ちしますよ」と言って、売れる分しか仕入れてこない。
88年12月に会社作って、89年12月から花の配達始めましたからね、27歳でした。在庫なしの無店舗完全予約制(笑)。
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