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win-win > 第1回 井上 英明 さん
ニューヨークでの一年
- 佐々木
そもそも会計士になろうと思われたきっかけはなんだったんですかね?
- 井上
大学卒業したら何の仕事しようかってときに、リクルートから分厚い案内誌が送りつけられていたじゃないですか。
- 佐々木
それ、女子には届かなかったんですよ。当時。
- 井上
あれをね、彼女と一緒に「何がいいかな」とか言いながら見てたんです。すると、僕の友だちに似た人の顔写真が載ってたんですよ。「こいつあいつに似てるよな」、何やってるんだろうと思って見たら、「会計士」と書いてあった。「そうか、会計士という仕事もあるんだな」。それからですよ。会計士の勉強をはじめたのは。
- 佐々木
ニューヨークはどのくらい住んでいたんですか?
- 井上
1年ちょっと。週に3回くらいはエンパイアとか上ってましたね。日本から友だちがみんな来るわけですよ。だから、ツアーガイドしたり、レストラン連れて行ったり。仕事中は、居眠りしそうでしたよ。
- 佐々木
じゃ、英語はどうやって身に付けてたんですか?
- 井上
早稲田大学に、国際部というのがあって、ここの学生と住んでたんです。だからカタコトの英語はできたんですよ。
- 佐々木
ニューヨークではアパートに住んで、独身生活を謳歌していた?
- 井上
遊んでましたね。仕事はおもしろいかと言われれば、そもそも好きでやってないから。条件で入ってるでしょう。会計士って仕事がおもしろそうとかね、使命感を持ってるとかいうことが何もない。なんか聞こえもいいから、これでいいかな。そんな気持ちで入ってるからつまんないんですよ。電卓ばっかりたたいてましたし。
- 佐々木
そういいながらも仕事はそれなりにできたんでしょう?
- 井上
チェックすればいいんですもん、下っ端ですから。去年の会計結果が間違ってないかどうか、チェックするわけですよ。会計書類見ながら、電卓かちゃかちゃかちゃかちゃやって。ちょこっとお金が合わないとなんでだろうとか考えるんです。
- 佐々木
1年ちょっとニューヨークにいて、帰って来た時は、会計事務所を辞めてたんですか?
- 井上
辞めて帰って来たんですよ。仕事おもしろくなかったから。
- 佐々木
でも辞めるというからには何か次の事を考えたりしていたんでしょう?
- 井上
あまり、考えてなかったですね。僕は時間を、自分の人生を大切にするんです。会計監査って過去のことじゃないですか。2002年になって何やってるかというと、2001年のカネ勘定が間違ってないかチェックするんです。「そんなの終わっちゃったもの、どうしようもない」そうと思う方だから、僕の人生を過去のことのために費やしてくれるな、そう思ってましたね。
- 佐々木
似たようなこと、母が言ったことがありましたよ。考古学者になりたいとわたしが言ったら、昔のこと勉強してどうすんの(笑)って。
- 井上
自分の人生を過去のことのために費やすこと自体が許せない。そして何はともあれ、過去のしがらみから解き放たれたい、過去はいやだ。それで辞めて帰国して、すぐ会社作りましたよ。
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