2008年2月

近代化産業遺跡に8件 経済産業省が認定

 経済産業省は昨年暮れ、幕末から終戦にかけて日本の産業発展に貢献した歴史的な工場跡や港湾,鉱山などを「近代化産業遺産」に認定した。このうち神奈川県内からは36件が認定された。さまざまな分野の遺産群に分かれ、「重工業化のフロントランナー」では、川崎から8件が認定された。

 明治後期の我が国の工業は、日清・日露戦争期の軍事需要などを背景として、従来の繊維・製紙・食品などの軽工業を中心とする構造から、鉄鋼・造船・機械などの重工業を中心とする構造へと移行しはじめた。
 重工業の立地においては、軽工業と比較して、広大な敷地や多量の原料や製品を受け入れ、送り出すための大型船舶が直接係船できる岸壁・運河や鉄道といったインフラがより重要な意味を持つが、当時の我が国には、このようなインフラを十分に備える場所が存在しなかった。
 こうしたインフラ整備の重要性にいち早く着眼し、計画的に重工業の立地を図ったのが、当時の実業家・浅野総一郎である。浅野が着目したのは、東京という大消費地に近接し、現在のJR東海道本線、京浜急行電鉄などの輸送手段が整備され、埋立てに適した遠浅の海岸が続くなどの利点を有する川崎から鶴見にかけての臨海部であった。浅野らは渋沢栄一、安田善次郎といった実業家の協力を得て、1908年に鶴見埋立組合(のちの鶴見埋築、現東亜建設工業)を設立し、1913年から鶴見・川崎海岸地区(約400ヘクタール)の埋立事業に着工した。


大正期の味の素のポスター
 東京から横浜にかけての臨海部の埋立自体は、江戸時代から江戸幕府によって行われており、明治期以降は東京府(のちの東京市、現東京都)や横浜市、川崎市などの地方公共団体によっても盛んに行われた。しかし、埋立事業だけではなく、鉄道(鉄道省、現東日本旅客鉄道)の貨物船、鶴見臨海鉄道(現JR鶴見線)、運河などの輸送手段、遠隔地に水力発電所を設けることによる遠隔地からの電力供給などのインフラ整備に加え、専用埠頭を設け、原材料を輸入し、製品を輸出する総合的な重工業用地として計画的に造成されたものは、浅野によるものが我が国最初であるとされる。

 こうして造成された埋立地には、第一次世界大戦の軍需と戦後の好景気、関東大震災で大きな打撃を受けた旧来からの東京湾深部や内陸の事業所の移転などを背景に、浅野が設立した浅野セメント(現太平洋セメント)、第一セメント(現ディ・シィ)、日本鋼管(現JFEスチール)などの素材系産業、昭和肥料(現昭和電工)や味の素などの化学・食品系産業、芝浦製作所(現・東芝)、日産自動車などの電機・機械系産業、そのほか石油化学、エネルギー産業など、我が国の近代化を支えた多くの企業が進出し、我が国最大の工業地帯である京浜工業地帯の骨格を形成した。

 これらの工場で採用された技術は、国内初、国内唯一、国内最新などを誇るものが多く、生産された製品も国内初、国内最高性能、国内最大生産量などとされたものも多い。また「マイクロメーター」などの精密測定機器の技術向上も、生産整備や製品の技術向上に大きく寄与しているといえる。


日本最初の冷蔵庫

川崎河港水門
 京浜工業地帯は、戦後も地方自治体などによる埋立てが継続され、工業地帯として成長、今日も名実ともに我が国を代表する工業地帯であり続けており、日々時代に見合った施設更新が行われている。また、第二次世界大戦中の大規模な戦災などもあり、現在も現役で稼働し続ける近代化産業遺産は、もっぱら一部の工場建屋や事務所、セメントサイロ、運河水門などの土木構造物に限られる。

 しかし、企業敷地内や地域の公共施設などには、企業の歴史や当時の最新の生産技術を物語るモニュメントとして、あるいは企業が設置した博物館・資料館などの収蔵品として、往時の製品や設備機器、資料等が保存・展示されている。

 今日では、これらを活用した自治体や企業などによる見学会・学習会なども盛んに行われており、多くの市民に親しまれている。

トーマス転炉

昭和電工事務所
川崎市の産業遺産

▽「重工業化のフロントランナー」(京浜工業地帯発展の歩みを物語る遺産群)
▽JR鶴見線(横浜、川崎)
▽川崎河港水門(川崎区)
▽味の素資料展示室の資料群(川崎区)
▽昭和電工川崎事業所本事務所など(川崎区)
▽デイ・シイ・セメントサイロ(川崎区)
▽東芝科学館の収蔵物群(幸区)
▽川崎市市民ミュージアムの展示物(中原区)
▽沼田記念館・ミツトヨ博物館の収蔵物群(高津区)
 

税務職員が出張授業 高校生にネットで確定申告

 川崎北税務署(常林坊修治署長)の職員が1月22日、川崎市高津区の洗足学園高校へ出張し、インターネットを使って申告や納税ができるe−Tax(イータックス=国税電子申告・納税システム)を指導する「e−Tax租税教室」を開いた。

 2年生21人を相手に同署の7人の講師が、生徒たちが会社員という設定で、国税庁のホームページで給与所得や源泉徴収額、医療費控除などパソコンを操作しながら疑似体験した。
若いうちから税に関心をもってもらうとともに、租税の仕組みを学び、将来的なe―Taxの普及がねらい。

 こうした授業は、昨年11月に灘校生を対象に開かれており、パソコンの使用環境が整っている学校でのe−Taxと租税教育の普及に大いに期待されている。
 e−Taxは、納税事務の簡素化を目的に2004四年に導入され、全体の3%に当たる約105万件で利用された。自宅からカンタンに申告できるほか、最大5千円の税額が控除されるなどの特典がある。
 26日には、保護者を対象にした授業も行われた。
 講師の一人高澤厭明照さんは、「簡単に申告や納税ができて、税務署へ足を運ばなくても良い」などとイータックスの特徴などを生徒に指導、「家庭で確定申告するときは、皆さん方が教えてあげてください」と呼びかけた。

私のイチ押し地元店 入賞店舗決まる 市商連

 消費者からの投票により市内の“人気No1”の店を決定する「私のイチ押し地元店コンクール」の入賞店舗がこのほど決まった。同コンクールは社団法人・市商店街連合会(和田義盛会長)が実施、今年で3回目。昨年11月1日から同月30日までの募集期間中に過去最多の877票の投票があり、最も得票の多かった店舗に与えられる「大賞(川崎市長賞)」には、飲食業部門から中原区の欧風カレー&パスタレストラン「伽羅」が、小売業部門からは中原区のブティック&学生服の「やまだや」がみごと栄冠に輝いた。
 また、大賞のほか各賞の店舗8店は、優秀賞(県商店街連合会長賞)=広東料理の「粥菜坊」(中原区)、中華料理店「味の散歩 中華村」(幸区)。優秀賞(川崎商工会議所会頭賞)=飲食【業部門】軽食・喫茶店「カフェマイム」(幸区)、【小売業部門】人形焼「人形焼 若姫」。奨励賞=(市商店街連合会長賞)=焼鳥店「樹下夢(じゅげむ)」(高津区)、コンディショナル料理「アンコンディション」(宮前区)。

【小売業部門】
ブティック&学生服「やまだや」
 1933(昭和8)年の創業以来、70周年を超える歴史を誇る老舗。店内は明るくモダンな感覚にあふれている。お客の体型に合わせ、自分の店で無料で行うサイズ直しは「魔法の手」と呼ばれ、50〜60歳代の主婦層を中心に高い評価を得ている。
 ラッピングを得意とするスタッフもいて、プレゼント対応も万全。
【飲食業部門】
欧風カレー&パスタレストラン「伽羅」
 女性客が7割を占める店内は、疾駆で落ち着いた雰囲気。ナスの甘みと挽肉の調和が見事なシェフがイチ押しのウズラのタマゴ・ナス・挽肉のカレーのほか、肉とソースの旨みが際だつ和牛のハンバーグステーキも大人気。

「粥菜坊」

「カフェマイム」

「樹下夢」

味の散歩 中華村」

「人形焼 若姫」

「アンコンディション」

かわしんお年玉調査 子どもたちにとっても厳しいお正月

 川崎信用金庫では、今年のお正月に、同金庫に来店した小学生を対象に、お年玉調査を行った。昭和58年より定例的に実施し今回で26回目。
子どもたちにとって、お年玉がうれしいお正月だが、どのくらい手にすることができたのか、また何に使ったのかなど、聞き取り方式で約600人の子どもたちから回答をもらった。
その結果、ガソリン価格の高騰や株価の下落など不透明な景気を反映してか、両親の財布のひもは固く、子どもたちのお年玉の平均金額は、2万4千126円と前年より305円減少、2年連続のマイナスとなり平成20年は子どもたちにとって厳しいお正月となった。
 「お年玉」は平均5.6人からもらっており、前年と同様となった。また大人一人からもらう「お年玉」の平均額は4千274円(前年比▲1.5%=以下同様)と前年より65円減少した。
 お年玉のスポンサーは@親戚の人82.7%Aおじいちゃん79.6%Bおばあちゃん75.2%Cお父さん67.2%の順でほぼ例年どおりとなっている。
「お年玉」から貯蓄に回す平均額は1万7千258円(▲10.0%)と前年に比べて1千919円減少、一人当たりの平均買い物額も5千687円(▲1.9%)と前年より111円減少した。
 買い物の内容は@「テレビゲームのソフト」39.8%(▲2.5ポイント)A「本・雑誌やマンガ」24.2%(▲2.2ポイント)B「おもちゃやぬいぐるみ」20.0%(0ポイント)が入り上位に変動はなかった。
 お正月の遊びについては、@「テレビゲーム」65.2%(+6.3ポイント)A「トランプ」37.4%(+3.9ポイント)となり、今年も「テレビゲーム」が他を引き離して17年連続1位となった。テレビゲームはハード、ソフトが相次いで発売され根強い人気が続いている。
なお「野球・キャッチボール」については、お正月が好天に恵まれたことから6.2ポイント増加の20.6%となり前年の7位から3位に浮上した。

初の川崎温暖化対策 カーボン・チャレンジかわさき 川崎市新年度予算案

 川崎市は2月12日、2008(平成20)年度の当初予算案を発表した。それによると、一般会計は6千94億6359万円で前年度比10.3%の増。長年"塩漬け"状態だった水江町の公共用地を取得するための費用を計上したため大幅増となったが、実質は1.6%の増。しかし、3年連続の増加で過去最高額となった。阿部市長は、「再生スパート予算」と位置づけ、「負の遺産」からの脱却と再建途上の財政安定をめざすと意欲を燃やしている。

 特別会計は0.7%増の5千255億5308万円。企業会計は3.0%減の1千984億1513万円。予算案と同時に、08年度から3年間の施策を示す「新実行計画」と「新行財政改革プラン」の最終案も公表された。
目玉は何といっても地球温暖化対策。「川崎温暖化対策推進会議(カーボン・チャレンジ川崎エコ会議)」の発足と「地球温暖化対策地域推進計画」の改定に向けた取り組みを進める。さらに、「(仮称)地球温暖化対策条例」の制定に取り組みとしている。


高津署の刑事と巡査長 大手柄 放火魔を現行犯逮捕

 川崎市高津区の県警高津署の刑事と同署地域課の巡査長の二人は、1月30日早朝、同区千年に隣接する中原区下新城一丁目で発生した放火事件で41歳の無職の男を放火未遂の現行犯で逮捕した。
 同署管内では昨年9月、10月と放火事件が相次いだ。いずれも同区の子母口方面。しかも、二つの現場に同じ男が現われていた。そこで、A刑事(37)とB巡査長(29)は、この男をマークし、地道な尾行が繰り返された。その後、この男は同区溝口に引っ越してきた。
 先月29日午後7時、かねて警戒をしていた男に動きがあった。中原区下新城一丁目の木造二階建てのアパートを徘徊しているところを、約100メートル先の交差点で監視していた。その日の深夜、男が突然アパートに入り不審な行動をしたため、30日午前4時55分、現住建造物等放火未遂の容疑で現行犯逮捕した。男は容疑を否認しているという。


川崎大師追儺(ついな)式 本堂内で福は内

 節分の日の2月3日、川崎市川崎区の川崎大師平間寺で恒例の節分会(え)・追儺式(ついな)が行われた。

雪の影響で、今年は6年ぶりに本堂内で行われた。
 袴(はかま)姿の年男年女約240人が「福は内」とかけ声を挙げて福豆をまいた。
 福豆は約1トン用意され3回に分けて豆まきが行われた。川崎大師によると、この日は約5000人が参加したという。


大山街道フェスタ 子どもから大人まで食べて笑って楽しんだ

 江戸時代に「大山詣で」で知られた川崎市高津区の旧大山街道沿いで2月10日、食べて笑って大いに楽しんでと、「大山街道フェスタ」が催された。今年で5回目。多摩川の二子橋からJR武蔵溝ノ口駅近くまで4カ所に設けられた会場で、湯豆腐や豚汁、赤飯などの販売や竹でつくった懐かしいおもちゃづくり、こども汽車、人力車など子どもから大人まで、雪解けの一日を楽しんだ。

 同フェスタは、地元の商店街や町内会などで構成する「大山街道活性化推進協議会」が、地域住民とのふれあいのきっかけづくりをと、5年前から実施されている。
 この日、二子神社では高津ゆどうふの無料配布や地元野菜の販売、フランクフルト、つきたておもちの販売などが行われた。
 高津図書館前と溝口緑地では、特設ステージで津軽三味線の演奏やバルーンアートなどが行われ、図書館ではおはなし会、広場ではフリーマーケットや物産市が行われた。

 また、大山街道ふるさと館では、打ち菓子づくりが、二階のホールでは落語が実施された。溝口神社でも焼きそばやおしるこの販売が行われた。


未来へ羽ばたけ赤い翼 川崎市消防音楽隊カラーガード隊


リーダーの千田裕香さん
17年前に発隊
 消防出初め式や防災訓練などで、軽快な音楽に合わせて華麗な演技を披露してくれるカラーガイド隊。正式には市消防音楽隊カラーガイド隊。愛称「レッド・ウイングス」。1991(平成3)年6月に15人でスタートした。それまでの聴かせる音楽隊から、ドリル演技を魅せる女性だけ17人のカラーガイド隊。これにより、市民に「聴いて」「観て」「楽しんで」もらえるようになった。

 華麗な美女軍団
年齢は18歳から23歳まで、身長は160センチから170センチと均整のとれた美女軍団だ。同隊は、フラッグを用いたドリル演奏だけでなく、全員が楽器演奏もこなす。市内の小中学校を訪問しては演奏を聴かせてくれる。
 音楽隊と共に消防の諸行事をはじめ市が主催する公的行事や地域で開催する各種行事に出演し、パレードやドリル演技を披露してくれる。

ドラムメジャーの出口麗子さん


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