日本小児科学会(会長、横田俊平横浜市立大教授)は15日、国内で脳死になった子供からの臓器提供・移植を容認するかどうか検討するプロジェクトを発足させると発表した。近く専門の委員会を設置し、今年中には学会としての結論を出したいとしている。
同学会は05年、現行法では認められていない15歳未満の子供からの臓器提供について「脳死を見分ける体制が整っておらず、実施は時期尚早」との見解を示していた。
会見した横田会長によると、国内でも子供の脳死を厳密に診断できる医師が出てきたことや、国際移植学会や世界保健機関が臓器移植の「自給自足」を各国に求めている国際的背景から、「子供の臓器提供・移植を検討する時期が来た」と判断した。
来月までに弁護士など医師以外も含めた10人前後の委員会を設置し、子供の脳死の科学的データを集めたり、海外で移植を受けた子供の患者からの聞き取り調査などを進めていく予定。
横田会長は「子供からの臓器提供は、虐待がないかの見極めや、(診断後1カ月以上心停止に至らない)長期脳死などの課題もある。他方で欧米に頼ってきた小児移植を再検討する必要もある」と話している。【関東晋慈】
毎日新聞 2009年2月15日 20時58分