Print this Post Article Lists Back

下品な言葉遣いがまん延する韓国社会(中)

◆番組成功のカギは「下品、不倫、不道徳」

 「禁忌」の範囲を超越したドラマがそのきっかけを作った。2003年に「不道徳・猟奇ドラマ」という新しいジャンルが登場するきっかけとなったMBCの『人魚姫』では、「おい、この野郎、今日はライブショーをやってやろう」という台詞と共に、瓶を割って自分の体を傷つける場面が放映された。SBSの『私の男の女』では女性同士の乱闘、『糟糠の妻クラブ』では家族全員の不倫、現在放送中の『妻の誘惑』では不倫を犯した夫が妻を溺死させるシーンが登場した。これらは究極のドラマなどと言われている。視聴者はこれらの番組の内容が好ましくないと知りつつも、熱中してしまう。結果的に、これらの番組は高視聴率で成功を収めた。

◆放送各社や放送通信委員会による審議は形式的

 わずか10年前、地上波放送で放映される映画に問題のある台詞が登場すると、その部分は聞こえないように処理されていた。また罵詈雑言が数多く登場する映画『友へ チング』は、放送用に新たに制作された。しかし最近は事情が異なる。SBS映画チームは「ここ最近では、状況から判断して行き過ぎだとみなされなければ、ある程度の表現は許容されている」と説明している。放送通信委員会による審議も、「下品な表現」に対しては厳正に規制できていない。「放送用語」に関する審議規定は、「国民の正しい言語生活にプラスになる必要がある」「正しい言語生活に悪影響を及ぼす抑揚、語調、隠語、流行語、造語、ため口は使用してはならない」という程度だ。

◆下品な表現が「実際の言語」に

 下品な言葉は「下品な情緒」を生み出し、「下品な情緒」は「極端な行動」へとつながる。「決死の反対」「何事か」「糾弾する」などが多く飛び交ったデモの現場での表現は、ここ数年で急速に過激化した。「ブッシュにかみつけ」(派兵反対デモ)、「ネズミ野郎、お前が一人でやってろ」(キャンドル集会に参加した小学生)などと書かれたプラカードも目に付いた。

 延世大学人間行動研究所のチェ・ユンシク研究員は、「下品な言葉が下品な行動につながるのは当然だ。言葉は行動を誘発する思いと反応を表現しているからだ」と説明する。

パク・ウンジュ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る