久美子と裕一が受け入れた美波を、英治は最初は受け入れなかったというのは、血のつながっていない子供を育てるということにとても抵抗があったんだろうと思うんです。でも美波と毎日生活していくうちにだんだん心が動いてきた。その変化をどうやって愛情として表現するか、が問題でした。小さい美波の部屋に英治が魚を持っていってお互い心を開くシーンがあったのですが、そういう面ではあのシーンがとてもポイントだったと思います。
美波が大きくなるにつれて、松嶋友貴奈ちゃん、山下リオさん、鈴木亜美さん、と変わっていくのですが、変わった最初の何回かはこっちも慣れないんですよ。でも不思議と何回か撮影しているとなじんでいくんですね。きっと視聴者の方も同じような感覚で見ているんじゃないかな、と思いました。
このドラマの一番の魅力は手話だと思うんです。主人公が耳が聞こえなくて、その周りの人間模様を描くというのは、今まであまりなかったですし。見ている方も共感を持って見られるでしょうし、「私も覚えたい」と手話を勉強する人も増えたと聞いています。恋愛の話だけでなく、そういう点では教育的にも優れていると思いますね。
小学校3年生のときの同じクラスの男の子です。その子からはいつもからかわれてて、私もそれに対して怒ってケンカばかりしていたんです。でも内心ではその男の子のことが好きだったんです。だけどいつもそんな調子だから言い出せなくて…。(その男の子も木内さんのことが好きだったのでは?)わからない、どうだったんだろう…。好きだって言いたかったんですけど、彼が転校しちゃって言えないままでした。切なかったですね。言えばよかったな。バレンタインも渡せないままでしたから。
英治が娘の久美子のことを「子供のころは泣き虫だったのにこんなに強いヤツだったとはなあ」というセリフがあるんです。ここのセリフのくだりと続く言葉が、このドラマの中では一番印象的なところでした。このあとの放送に出てきますから、そこはぜひ見ていただきたいですね。