戦前から戦中にかけて国策で中国東北部(旧満州)に移住し、敗戦後に取り残された中国残留婦人3人と残留孤児1人が国に賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁は12日、原告側の上告を棄却する決定をした。原告側の敗訴が確定した。
残留孤児らが起こしていた訴訟の大半は、07年の法改正で残留婦人や孤児の支援策が見直されたことを受けて原告側が訴えを取り下げており、この問題をめぐる訴訟が最高裁で確定するのは初めて。
残留婦人が起こした訴訟では、第一小法廷の宮川光治裁判長が「上告審として受理すべきだ」という反対意見を述べた。意見では、法改正による支援が始まった時点で3人が75〜79歳になり、帰国から21〜30年たっていると指摘。「長きにわたり支援を受けられなかったことに関し、違法があるか否かについて議論の余地があり、この点について判断を示すべきだ」とした。