警察庁の吉村博人長官が10日、県警本部を訪れて幹部約35人に訓示し、振り込め詐欺対策について「県民からの未遂事件情報を積極的に活用して検挙効果を上げるとともに、警察の総合力を発揮して取り締まりを徹底してほしい」と求めた。
警察庁長官が県警を訪れるのは2年半ぶり。訓示のあと、吉村長官は名古屋・栄のデパートで、振り込め詐欺の被害に遭わないよう呼びかける警察官による寸劇を視察した。
県警によると今年1月の県内の振り込め詐欺被害は計41件(前月比7件減)で被害額は3552万円(同1273万円減)だった。
「第2のピーク」と言われた08年は全国ワースト5位の計15億3000万円の被害があった。しかし10月からATM(現金自動受払機)周辺の対策や高齢者への巡回連絡などを強化した結果、被害は減少傾向にある。
1月の被害は類型別で▽オレオレ詐欺は前月比6件減の13件(約1405万円)▽架空請求詐欺は同4件減の4件(約42万円)▽還付金詐欺は同3件減の12件(約987万円)といずれも減った。
しかし融資を持ちかけて保証金をだまし取る融資保証詐欺は増加。前月比6件増の12件で被害額は898万円増の1117万円だった。被害者の多くは多重債務者や中小企業の経営者で、県警は「借金で困っている人が狙われており、不況の影響が出ている」と分析している。【桜井平】
毎日新聞 2009年2月11日 地方版