ランドセルといえば黒か赤かしか浮かばないが、最近は色の種類が増えているのに驚いた。売り場は青やピンクなどカラフルだ。
祖父母が孫と一緒にランドセルの品定めをしている場面に出会った。四月から小学校に入学するかわいい孫のためなら財布のひもが緩もう。背中に大きなランドセルを背負ったピカピカの一年生を想像すると、買い物風景がほほえましい。
本紙の古い記事にランドセルの歴史の紹介があった。明治時代に学習院で軍用の背のうを使い始め、背のうを意味するオランダ語のランセルがなまってランドセルになった。全国に普及したのは戦後の一九五〇年代以降とされる。
カラー化は進んだが、箱型に大きな変化はない。新しいバッグなどが次々と生み出されているのに、祖父母の代から子、孫へと受け継がれている。ランドセルは日本の学校文化を代表するといってもよさそうだ。
六年間使い続けると愛着がわき、思い出が詰まる。不用になっても簡単に捨てられない。クラレが二〇〇四年から始めた使用済みランドセルをアフガニスタンなどの子どもたちに贈るキャンペーンでは、昨年までに五万個以上が現地に届けられたという。
プレゼントされた海外の子どもたちの笑顔が目に浮かぶ。健やかな成長を祈らずにはいられない。