男性同士の恋愛を描くボーイズラブ(BL)などを好むオタクの女性「腐女子」を彼女に持った男性が、その実態を描き、30万部のベストセラーとなったマンガ「となりの801ちゃん」(小島アジコ、宙出版)。9月5日に発売される実写版DVDで、主人公のチベ君を振り回す801ちゃんを演じる広澤草さん、チベ君の妹役の麻亜里さん、801ちゃんの妹役の伊藤夏帆さんに撮影の裏側を語ってもらった。
--801ちゃんを演じることが決まってどう思いましたか
広澤 最初は、面白い役柄だと思った反面、腐女子とオタクはどう違うのかといった定義やBLのことが分からなかったし、実在の人を演じることへのプレッシャーはありました。それが、すごく楽になったのは寺内(康太郎)監督に、「普通の女の子として演じてほしい」と言われてからです。ある程度自由に演じさせてもらえましたが、監督のイメージと違うところではきちんと指摘してくれました。寺内監督とは一緒に仕事をするのは初めてでしたが、一言一言に重みがあって、信頼の置ける方でやりやすかったですね。
--役作りは
広澤 さまざまなオタク用語が出てきますが、台本にある言葉は調べればすぐに分かるので問題はありませんでした。けれど、ずっとしゃべり続けるシーンでは、もっといろいろしゃべれるなと思って、あらかじめ調べたBLの用語なども織り交ぜながらせりふを作っていきました。今までの自分の中にないことだったので、とても新鮮でした。
麻亜里 チベ君の妹は、オールバックにメガネという見るからに真面目な女の子という感じだったので、仕草やしゃべり方などにも真面目さが出るように気を配りました。
伊藤 演技をするのが初めてだったので、まずは自分だったらどう行動するかを頭に置いてから撮影に臨みました。801ちゃんの妹は結構だらしないシーンが多かったので、家でだらしなかった時の記憶を思い出しながら演じましたね。
--チベ君役の瀬戸康史さんの印象は
広澤 瀬戸さんは撮影当時18歳だったので、「若い子だなあ」とおばちゃんのような第一印象でした。けれど、しゃべってみると、とても真面目でちゃらちゃらしたところもなくて年の差は感じませんでした。
麻亜里 瀬戸さんとは以前(テレビ番組の)「おはスタ」で共演していたのですが、卒業してからまた共演するとは思わなかったので、とてもうれしかったし、ちょっと不思議な感じでした。おはスタの時、瀬戸さんが入ってきたときは、まだ慣れてなかったからなのか、礼儀正しくて、物静かな優しい人という印象があったけれど、そのままで、とても元気になっていました。
--腐女子の印象は
広澤 最初は単なるマンガオタクの女性バージョンかな、というばく然とした印象だったのですが、原作を読んで、勉強もして、腐女子がどんな人のことを指すのか分かりました。撮影中は私の目線もちょっと変わっちゃって、男の子2人をみるとついついいろんな妄想をしていましたね。
--実際の801ちゃんと池袋の乙女ロードに行ったそうですね
広澤 一緒にアニメショップに入って、801ちゃんにおすすめのマンガを聞いたのですが、ちょっと聞いただけで、801ちゃんの口から膨大な知識があふれ出てくるんです。話をする前は、ちょっと知識が偏っているのかなと思っていたんですが、実際に話をしてみると、一般的に流行っているものについても当然知っていて、半端じゃない知識の豊富さには舌を巻きました。
--皆さんの“萌え”ポイントは?
広澤 801ちゃんのスーツ萌えはよく分かります。特に普段スーツを着ないような人がスーツを着ていると萌えちゃいますね。ギャップに弱いんですよ。
麻亜里 普通のメガネはなんとも思わないんだけど、黒ぶちのメガネの男の子にはちょっと萌えを感じちゃいます。
伊藤 私は、普段おちゃらけている感じの男の子が優しい素振りを見せるときゅんとしちゃいますね。
--作品の見どころを教えてください
広澤 やっぱり、瀬戸さんのメガネスーツ姿じゃないでしょうか。瀬戸さんがファッションショーのように、白衣やスーツなどさまざまな姿で登場するシーンは必見ですね。「この人に聞いたら間違いない」と言われるようなものを持っているのは、すごいことだと思うし、はまっているものがたまたまBLだっただけで、そんなに特別なことでもないのかなと思います。普通のカップルのコミカルな日常を描いているので、気楽に見てほしいですね。
伊藤夏帆(いとう・かほ) 94年生まれ。「シンデレラオーディション109-2」(ナルミヤインターナショナル)グランプリ、「りぼんガール」(集英社)準グランプリ受賞 ニコ☆プチ(小学館)メーンモデル。
広澤草(ひろさわ・そう) 79年生まれ。映画「踊る大捜査線THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!」 、「明日の記憶」、舞台「Ties~2007」、「筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦」(TBS)リポーターなど幅広く活躍中
麻亜里(まあり) 92年生まれ。 CM「まんがの達人」(アシェット)、「eo光」(ケイ・オプティコム)、テレビ「おはスタ」(テレビ東京系)OHAガール、「BOMB」(学習研究社)など出演。
2007年8月25日