腐女子の実態を描き、大ヒットしたマンガ「となりの801ちゃん」が、オリジナルドラマとして実写化された。主人公のチベ君役には、腐女子たちの熱狂的な支持を受けるミュージカル「テニスの王子様(テニミュー)」の菊丸英二役で人気のイケメン俳優、瀬戸康史さん(19)、801ちゃん役は、映画「踊る大捜査線」などの広澤草さん(27)。801ちゃんの「本体」となる謎の生物は、アニメ合成で再現された。9月5日のDVD発売に向け、撮影の裏側を語ってもらった。
--チベ君役のオファーを受けてどう思いました
瀬戸 チベ君は、28歳のサラリーマンですが、オファーがきたとき、まだ18歳だったので、10歳上を演じるのかとびっくりして、寺内(康太郎)監督に僕でいいのか聞いたんです。「これはファンタジーだから、年齢は気にしなくていいよ」と言ってもらって安心しました。茶色で長かった髪を黒く染めて、バッサリ切って「チベ君カット」にしたんですが、もっと幼く見えちゃって……。
--原作を読んだ感想は
瀬戸 4コママンガなので読みやすかったですし、腐女子の世界を知ることができて、とても面白かったです。マンガの中に「テニミュー」のことが出てきて、「すげえ、テニミューって言ってる!」と思わず口に出してしまったほどうれしかったですね。
--801ちゃんご本人に会ったそうですね
瀬戸 寺内監督と801ちゃん役の広澤さんといっしょに、某アニメショップを案内してもらったんですが、一言で言うと「濃かった」ですね。最初お会いしたときは、普通の可愛い女の子だったのですが、店に入った瞬間、「ちょっとガチャガチャ(コーナー)行っていいですか?」と、まっしぐらにガチャガチャを始めたり、「どんなものが気になりますか」と聞かれて、僕が「あの~」と話し始めた次の瞬間には、作品やキャラクターの解説を一生懸命説明してくれたり、終始801ちゃんのペースで、そのパワーには圧倒されましたね。
--801ちゃん役の広澤さんの印象は?
瀬戸 初対面の時、とても可愛らしい方だったので、同年代に見えたんですが、大先輩と聞いて驚きました。芝居もお上手で、とてもいい刺激になりました。撮影は、マンガがいっぱい置いてあるチベ君の部屋に二人だけでいるシーンが多かったので、休憩中は一緒に「美味しんぼ」などのマンガを読んでいました。BL系のマンガも置いてあったので、それを二人で読んで新しい知識を取り入れたりして楽しんでました。
--他のキャストは?
瀬戸 「テニミュー」の共演者が何人も出ているのですが、最初出演するのを知らなくて、会う度にびっくりしていました。妹役の麻亜里(まあり)さんは、僕もレギュラー出演している「おはスタ」(テレビ東京系)の「おはガール」だったので、「またお前かよ~」という感じで、冗談を言って盛り上がってました。
--撮影の苦労は
瀬戸 広澤さん演じる女の子の姿は「擬体」なので、「本体」となる緑の毛むくじゃらの謎の生物と芝居をするんですが、「本体」は後でアニメを合成するので、「本体」が実際にいるように演じるのが難しかったですね。あと、チベ君自身もオタクなので、僕が知らなかったアニメやマンガにまつわる「オタク用語」を覚えるのも大変でした。
--印象に残るシーンは?
瀬戸 チベ君が801ちゃんに髪の毛を直してもらうシーンが大好きです。二人の会話自体は、オタク用語が飛び交っているのですが、カップルのほほんとした温かい雰囲気に包まれていて、とてもいいシーンだと思います。あと、悪役が「目が!目が!」と叫びながら目を押さえて転げまわる某名作アニメのパロディーのシーンがあって、通行人がたくさんいる中で、僕一人だけ、カツラを付けてコスプレで演じていたのは、すごく恥ずかしかった。最後は心を無にしてやり遂げました。
--801ちゃんの“好物”の「メガネ」については
瀬戸 右目の視力だけが悪いので、普段は右だけコンタクトをしているのですが、「おはスタ」では、いろんなメガネをかけています。メガネをかけただけですごく印象が変わるのは実感しています。チベ君のような細いフレームのメガネだと、真面目なサラリーマン風というイメージですし、太めだとちょっとおしゃれですよね。チベ君を演じて、個人的にもメガネをたくさん集めて気分に応じて使い分けたいなと思うようになりました。
--もう一つの“好物”は「スーツ」ですが
瀬戸 元々童顔で、制服を着てお芝居することが多かったのですが、スーツを着る役というのは、初めての経験でした。最初のころは、「着せられてる」という感じでしたが、だんだんなじんできました。スーツをかっこよく羽織るシーンでは、慣れていなくて、腕がなかなか袖に入らなくて苦労しました。スーツを着ると、背筋がピンと伸びる感じが気持ちいいので、機会があればこれからもチャレンジしたいと思っています。
--「腐女子」のイメージは
瀬戸 腐女子というと、何をしているか理解できないという人もいるかもしれませんが、興味の対象がアニメやマンガだったりするというだけなので、僕個人としては「アリ」なんじゃないかなと思っているので、特に気にしませんね。このドラマを見て、腐女子の人がどういう考えを持っているのか分かってもらえればと思います。腐女子のみなさんには、「こういうことあるな」と思ってもらえるとうれしいですね。
2007年8月11日